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変身ロワイアルその6

679変身─ファイナルミッション─(2) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:23:50 ID:GU7jrFVA0

 彼のこれまでの自信には、明確な根拠が伴っていたのである。
 ユートピアドーパントがエクストリームと化した時、同時に備わった新たなる力。
 それは──この殺し合いで現れた怪物たちと同様の力であった。
 魔術に限らず、あらゆる技を運用する事ができる。

「そう──」

 かつて、クオークス、NEVER、ドーパント、仮面ライダーの四つの力を全て得ていたように、加頭の身体には幾つかの悪の勢力と同様の力を発動する「コア」が埋め込まれている。
 JUDOの力のコア。アマダムの力のコア。ラダムの力のコア。花の力のコア。魔術の力のコア。魔界の力のコア。……そんな無数の核が、理想郷の一部として体中にちりばめられたのだ。
 そして、今、気づかれたと知れた時、ユートピアは、狼狽える目の前の敵に向けて、「実演」を行った。

「──たとえば、こんな風に」

 右手を翳すユートピア。
 周囲の大気が渦を巻き、そんなユートピアの右手に収束していく。右手の中に巨大な黒い塊が具現化され、その中に、今込めたエネルギーが全て包み込まれた。
 ぐっと握りしめ、ユートピアは顔を少し上げた。
 それが次の瞬間の彼の一声と共に解き放たれる。

「──ブラスターボルテッカ!」

 叫びと共に、ユートピアの右手から発されたのは、テッカマンたちが使用した必殺の技──ボルテッカの強化版であった。
 一つのエリアを焼き尽くす程の膨大なエネルギーを持つ ブラスターボルテッカが、今、ヴィヴィオたちの前に放たれる。

「何っ──!?」

 轟音と共に──。

「くっ……!」

 しかし、直前にレイジングハートが間一髪バリアを貼り、彼らの周囲だけは守られる。
 それでもやはり、ユートピアの一撃は相当な威力で、レイジングハートへの負担は膨大だったに違いない。こんな多段的な攻撃を受けるのは初の事である。

「──っ!?」

 爆風。
 周囲の草木が一瞬で灰になり、それを見たキュアブロッサムが眉を顰めた。
 仮にバリアを張られなければ、自分たちも無事では済まなかったに違いない。

「くっ……何て力だ……!」

 仮面ライダーエターナルも、自身の身体を守っていたローブを下ろして、憮然とした表情でそれを見ていた。
 ユートピアは、手をゆっくりと下ろし、続ける。

「──今のような技も、何のフィードバックもなく放つ事が出来るわけだ」

 フィリップがそれを見て、息を飲んで言った。

『……つまり、あらゆる地球の記憶を全身に埋め込んでいるという事なんだ!
 奴が使っているのは、正真正銘の……エクストリーム……!!』
「その通り!」

 と、ユートピアの口調はどこか誇らし気であった。
 胸を張り、理想郷の杖を右手に持ち替えた。それを目の前に並ぶ者たちへと向ける。
 彼の持つのは、理想郷を修復する力だ。崩れ去る運命さえも、それを一瞬で巻き戻してしまう。即ち、自らの負うダメージもまた、一瞬で回復してしまうのだ。
 ただでさえ無尽蔵なエネルギーを持つNEVERが、「攻撃を浴びせながら体力を回復する」という絶対の矛と盾を同時に得たのである。

 ブラスターボルテッカに匹敵するエネルギーを放ったとしても、肉体が崩壊する前に肉体が再生してしまう──。
 それが、彼の理想郷の力であった。

「いかに束になってかかろうとも、私に勝つ確率は、ゼロだ……!」


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