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変身ロワイアルその6

678変身─ファイナルミッション─(2) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:21:20 ID:GU7jrFVA0

「……!」

 クリスも気づいているらしく、クリスの焦燥する感情がヴィヴィオの全身に伝わる。
 いや、クリスはもっとはっきりと、今の闇の波動がヴィヴィオに放たれるまでに正体を明らかに察知したのだろう。
 彼には、まるで悪魔が取り憑いているように見えた。

「──」

 そんな中、ヴィヴィオとユートピアの間に一人の男が立つ。

「──ヴィヴィオちゃん、手を貸すぜ!」

 超光戦士シャンゼリオン──涼村暁である。
 彼もまた、超光剣シャイニングブレードを右手に構え、敵の身体をその刃の餌食にしようと走りだそうとしているかのようだった。
 助っ人というには、少々頼りないが、ユートピア相手には二人以上でかかるのが妥当と見たのだろう。

「──待って!」
「えっ」

 と、そんな彼が手を貸そうとするのを、ヴィヴィオは今までにない剣幕で叱りつけるように怒鳴った。完全に戦闘態勢に入っていたシャンゼリオンも、その言葉に流石に足を止めた。不安気にシャンゼリオンがヴィヴィオの方を向いた。
 ヴィヴィオはすぐさま頭を冷やして、少し丁寧な口調に直して、シャンゼリオンに言った。

「待ってください……!」
「え? なんでよ」
「あの人……実力は今の私たち一人一人と同じレベルですけど……もしかすると、何か切り札を持っているかもしれません!」

 その言葉は、シャンゼリオンとヴィヴィオの数歩後ろにいた他の者たちにも聞こえただろう。
 並んだ者たちも一斉に足を止めた。──今、戦ったヴィヴィオにしかわからない「予感」。
 ユートピアをちらりと見るが、どちらの側もまだ攻撃を仕掛ける様子はない。彼としては、早々に“気づかれた”事も面白いのだろう……。
 ヴィヴィオが続けた。

「……ううん。もっと、わかりやすく言うと──」

 ヴィヴィオが“気づいた”──という事を感じ取り、ユートピアもまた、異形のまま、ニヤリと微笑んだ。
 そう。ユートピアがベリアルウィルスによって得た、新しい能力たち。
 その一つが今、戦闘時を目途に、開眼しているのだ。
 確かにその切り札はまだ使用していないはずだが、しかし、ヴィヴィオたち魔導師には充分に感じ取れるものになった。
 どれだけ消そうとしても匂う、その切り札の香り──。

「──」

 ヴィヴィオが、口を開いた。

「あの人は今、私たちの世界の住人が持つはずの、『魔術』を持っています……!」

 シャンゼリオンたちは、一斉にぎょっとした。
 とりわけ、その中でも強い驚きを示しているのは、仮面ライダーダブルこと左翔太郎とフィリップである。加頭の正体はクオークスであり、NEVERであり、ドーパントであり……また、過去には仮面ライダーに変身したかもしれない。
 しかし、彼は、「魔術」などという物を使った過去はなかったし、その素養は決して簡単に得られるものではなかった。そもそもが、その力の存在しない翔太郎たちの世界の人間がそれを短期間で会得できる可能性は極めて低い。

「……気づいたか」

 ユートピアは淡々と言う。

「──教えてやろう。私は、参加者や私の仲間の持っていた力の残粒子を『コア』として凝縮し、ベリアルウィルスと共に注ぎ込まれた……。
 つまり、ここに居た者たちの全ての技を使う事が出来るのだ……!!」


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