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変身ロワイアルその6
677
:
変身─ファイナルミッション─(2)
◆gry038wOvE
:2015/12/31(木) 20:19:53 ID:GU7jrFVA0
それがユートピアの全てを打ち砕くべく、アクセルを踏み込んだようなスピードで邁進していく。
彼女の一歩は、空間をも飲み込んだような一歩であった。
「──アクセルスマッシュ!!」
「フンッ!」
ユートピアは、叩きつけられたパンチをクロスした両手でガードした。
そのまま、ヴィヴィオの手を取り、力の流れを寄せ──彼女の身体の天地をひっくり返す。
何が起きたのか──。
「くっ……」
ヴィヴィオも、気づけば空を見る事になった。合気道のような技で投げられたのだと察知するまでにもそう時間はかからない。
加頭固有の能力を使えば、ヴィヴィオを触れもせずにひっくり返す事が可能であろう。
しかし、彼はベリアルウィルスの効果で元の素養を超える身体能力や、敵を見る術を得ていた。一切の能力を使わず、元の身体のポテンシャルだけでヴィヴィオに空を見せたのだ。
「……っ! 痛〜っ!」
「この能力だけが私のやり方ではない──。
格闘による真っ向勝負も一つの戦法だ……!
得意の接近戦に持ち込む事など、愚かな!」
「……そういう事なら、むしろ逆に、受けて立ちます! ……はぁっ!!」
ヴィヴィオの拳は、何発もの攻撃を、凄まじい速さで、連続してユートピアに打ち込んだ。
その一つ一つが、強い魔術を込めた一撃だ。──いうなれば、それこそ、闇の欠片が供給している死者たちの魂である。
黄金の輝きを持つ限り、ヴィヴィオたちにはこれまで以上の、圧倒的な力が味方する事になるだろう。
ユートピアも同条件には違いないのだが、その想いの強さでは、ヴィヴィオが勝ると言える──。
「はぁぁッ──!!」
「ふんッ」
それを何度も、ユートピアの胸に、腹に、顔面に──叩きつけるつもりで打ち込んだ。だが、その全てがユートピアの掌の上で跳ねていく。
ヴィヴィオのパンチのスピードに追い付き、ほぼ全てを迅速に片手で防御しているのだ。
結果、ヴィヴィオのパンチは一度もユートピアの身体に当たる事がない。
「──無駄だ!」
ユートピアの掌から、ヴィヴィオに向けて闇の波動が放たれる。
それは、彼女の身体を拳から伝って全身吹き飛ばし、真後ろの地面に尻をつかせた。
ヴィヴィオにとってもそれは少しの痛手であったが、後退の意思が過るほどではない。
いや、それどころか、この程度の負傷は誰の日常でもよくあるレベルだ。アインハルトと戦った時だってそうだ。何度も行った模擬戦の中で、何度空を見て、何度膝をつき、何度腰を抜かした事か。
それがヴィヴィオの常だった。それがヴィヴィオの戦いだった。
「──」
わかっている。──それでも、今はいつもと違うのだと。
ヴィヴィオの背中には、今、自分を守ってくれている人たちの想いがある。──それを全身で感じていた。この重みは、決して只の荷物にはならない。
ヴィヴィオに必ず力を貸してくれる。
「くっ……!」
ヴィヴィオは、すぐに強く地面を蹴って、立ち上がると、再びファイティングポーズを取った。
──こうなる限り試合続行だ。何度だってポーズを取る。
しかし、実のところ、彼女の顔色というのはあまり良くない。勿論、敗北を予感しているわけではない。
──ただ、何か薄気味悪い予感がしたのである。
(まさか……この人……!)
先ほど、手ごたえのなさと同時に──ヴィヴィオはもう一つ、ある違和感をユートピアに対して覚えたのである。
その理由も薄々察する事になった。
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