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変身ロワイアルその6
674
:
変身─ファイナルミッション─(2)
◆gry038wOvE
:2015/12/31(木) 20:14:48 ID:GU7jrFVA0
そんな事を言ったのは──その「誰か」とは、佐倉杏子の事だった。
──彼ら八人は同じ場所に固まって転送されていたが、その付近には、腕の形をした奇妙で巨大な建造物が立っていたのだ。
これこそが悪の牙城なのだが、それを「城」と認識できた者は少ない。
杏子の言う通り、誰しもが「巨大な手」と思っただろう。しかし、それが巨大な人体の一部の手と認識した者もおらず、あくまで「手の形を模した巨大な何か」という風に全員が捉えたようだった。
薄気味悪いが、だからこそ、決戦の時であるのがよくわかった。
「気づいてないだけで、前からあったんじゃねえか?」
「あるわけねえだろ! あんなデカい城を見落とすのはこの世でお前だけだ!」
『勿論、あんな物は僕も知らない。この数日で出来たようだ』
仮面ライダーエターナルの言葉は、同じ仮面ライダーのダブル──左翔太郎とフィリップに突っ込まれる。
しかし、こうして軽口を叩いていられるのも今の内であった。
彼らも、決して緊張がないわけではないのだ。だからこそ、わざとこうして場を温めているのかもしれない。
だが、結果的に言えばそれも束の間の話だった。
「──ッ!」
次の瞬間。
一筋の風が吹いた時、まだ温かみを持て余していたはずのその場の空気が、ふと一転する。わけもなく背筋を凍らすほどに冷やかな風が、身体を撫ぜる。
誰もが、喉元に氷柱を飲み込んだような緊張感に苛まれた。
戦慄──。
「……誰だっ!?」
この直後に彼らの前に──一人の男が現れたからである。
闇にも映える真っ白なタキシードの服。
──ゆっくりとこちらへ歩いて来る。
見覚えがあるようで、やはり、これまでに見た事のない雰囲気の男。
即座にその男の正体を答えられる者はいなかった。
「……遂に来てしまいましたか。……結局、あなたたちは自分の故郷ではなく、お仲間が死んだこの場所で死にたいと──そう願ったと、結論しましょう」
ダブルは、その男の瞳を見た事があった気がした。
いや、誰もが見た事があるのだが、その白いタキシードの男に対して、それが──あの、「加頭順」であるという認識を持てた者は少ない。表情こそ変わらないが、どこか柔和で、歩き方にも奇妙な余裕が感じられるからである。
「……」
元の世界の左翔太郎とフィリップさえも、その判断には少しだけ時間を要したくらいだ。だが、やはり、奇縁があるのか、真っ先に気づいたのは彼らであった。
到底、あのはじまりの広間で見た男と同一とは思えなかった。──人は数日ではここまで印象を変える物なのだろうか。
「まさか、お前。加頭、順か……?」
「ええ。……お久しぶりですね。てっきり、そちらの半分は亡くなったかと思いましたが」
加頭が笑顔で皮肉を言った。そちらの半分、というのはダブルの右側──フィリップの事だろう。
それから、勿論、ヴィヴィオの事も加頭は多少なりとも気にしたのだと思われるが、加頭も同様の死人であるが故、あまり追及するつもりはないようだ。
特に、フィリップに関してはその出自において、死者蘇生に近い事が行われているし、ガドルという見落としも過去にはある。一人や二人の増援は、今更気にならない様だ。
呼ばれた当人の仮面ライダーダブルは、加頭のかつてと違う様子に少し当惑していた。
「……なんか、調子狂うな」
「ふふふ」
「前は、そういう風に笑ったりはしなかったぜ。……まあ、今もあんまり良い笑顔じゃねえがな──」
「……ほう、なるほど。後の為に、その言葉も参考にしておきましょう」
ダブルの反応は予測済というわけだ。これだけの人数を前にしても震えず、余裕綽々と笑っている加頭の顔を見ていると、やはり不気味に思うだろう。ダブルへの勝算があると見ているに違いない。
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