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変身ロワイアルその6

673変身─ファイナルミッション─(2) ◆gry038wOvE:2015/12/31(木) 20:13:15 ID:GU7jrFVA0



「──ここは、どこだ? いや……」

 ……気づけば、仮面ライダーエターナルたちの周囲には、あの景色が再現されていた。
 エターナルは、お決まりの台詞を告げて、周囲をきょろきょろと見回しながらも、自分たちがどんな場所にいるのかを頭の中ではよく把握しているようだ。
 それもそのはずだ。自分の体がここになければ困る。ここまでの出来事が全て夢というわけでもない限り、今日、この時は自分の体がここになければならない──それが自分たちの宿命なのだ。

「──」

 ──彼らを殺し合いに呼び寄せたあの世界。
 何日か前までここにいて、何日か前まで戦っていた世界と、全く同じ風。
 光の差さない真っ暗な森。──それは、まだここが黎明の世界。もし、彼らの身体が金色に光っていなければ、それぞれの姿を確認するのも覚束ない程だっただろう。

 ただ、心なしか、以前よりも命の鼓動のような物が森の中に生まれ始めているようだった。
 おそらくは、それは、必然的にこの世界に辿り着いてしまう微生物や小虫たちがここに住み着き始め、何の命もなかった世界に少しずつ命が植えつけられようとし始めているという事だ。

 それに気づいたのは、キュアブロッサム──花咲つぼみだけだっただろうか。
 エターナルは、続けた。

「……わかってる。俺たち、遂にここに来たんだな」

 この台詞を告げた時、どうやら、この外の全ての世界では、彼らの最後の戦いの中継が自動的に始まったらしかった。
 そして、この瞬間を以て、艦に最後まで残っていたインキュベーターは、次元の波の中に囚われ、おそらく消滅したのだろう。──勿論、その意識と情報を共有する別の存在が世界にいるので、それほど悲観的に考える事実ではないが、こうして彼らが無事この世界に侵入できた功労者として、インキュベーターの尊い犠牲もあった事は忘れられてはならない。
 それは、アースラという戦艦をここまで運んだのは、決して彼らだけの力ではなかったという証明に違いない。元々の乗組員は勿論、死者さえも、別の世界の者たちさえもそれを動かし、彼らを届けた。
 彼らに勝ってほしいと願う全ての心の結晶が、彼らをここまで乗せたあの巨大な船だったのだ。
 敬礼する間が無いのは惜しむべき事実であった。

「……」

 ただ少しだけ、周囲を見回してアースラを探した者もいたし、空を見上げた者もいた。
 あの数日、共同生活を経たあのアースラは、もう無い。
 その事実には、在りし過去に戻れぬノスタルジーも少し湧いただろう。

「……」

 ……とはいえ、結局、アースラよりも彼らにとって郷愁の情が湧いてしまうのは、こちらの戦場だったのも事実だ。
 あらゆる悲しみと、怒りと、そして楽しい時間さえもあった場所。
 そうであるのは違いない。



 ──しかし、大事な出会いの場所でもある。



 ここにいる者たちは、お互いにここで出会い、ここで悲しみを共有したのだ。
 たとえ、ベリアルの戦いがなければそれぞれがもっと別の──幸せな出会いをしていたのだとしても、今ここにいる自分たちが直面したのは、悲しみの中での細やかな幸せとしての出会いだ。
 この感情を持って戦えるのは、自分たちがここで出会ったからに他ならない。

 ……ふと、そこにかつてと違う物があるのを誰かが見つけた。

「……ん? なんだ、あの悪趣味な手は。あんなもんあったか?」


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