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変身ロワイアルその6
670
:
変身─ファイナルミッション─(1)
◆gry038wOvE
:2015/12/31(木) 20:07:27 ID:GU7jrFVA0
それは時に正義の力となり、時に悪の力となる。
それを使うのは使い手次第。
ガイアメモリが仮面ライダーにも、犯罪者にも使われたように。
光の巨人を模したウルティノイドがダークザギとなったように。
改造人間やテッカマンとなった者が時に本能に従順になり、時に理性で打ち勝ったように。
同じ遺伝子から生まれた少女が光と闇に分かたれたように。──そして、それがある時入れ替わったように。
使い手の心は、力の形さえも捻じ曲げる。
善にも悪にも。光にも闇にも。
────そして、その力には決して罪はない。
『重甲!』『邪甲!』
『怒る!』
『風よ、光よ、忍法獅子変化!』『ゴースンタイガー!』
『チェインジ!スイッチオン!ワン、ツー、スリー!』
『大・変・身!』『アポロチェンジ!』
『ガイアーーー!』『アグルーーー!』
『『『『『クロスチェンジャー!』』』』』
『『『『『トッキュウチェンジ!』』』』』
『『『『『シュリケン変化!』』』』』
『瞬着!』
『凱気装!』
『ハニーフラッシュ!』
『ピピルマピピルマプリリンパ、パパレポパパレホドリミンパ!』
『パンプルピンプルパムポップン!』
変身者たちの風の中には、時に冷徹な悪の戦士の声や、戦いを行わないただの魔法少女の声までも混じった。そんな混沌の理由を察する事は誰にも出来なかった。
あらゆる時空から吹き荒れた「変身」の力には、意思という物はない。
だが、強いて言うならば、変身者たちの意識のほとんどがベリアルを倒す方に傾き、善悪問わず──あの外道衆たちさえも含め──彼らに味方しようとしている想いが、こんな奇跡を起こしているのかもしれない。
誰もが他者による支配を望まない。
故に、それらは一斉に彼らに向けられて力を発していたのだ。
『まさか……』
その果てにあるのがどんな目的であろうと、それは同じ「変身エネルギー」には違わず、そして、意思の伴わない力が偶然船に向けて放たれただけである。
アースラに乗っていた者たちは、全員、目を丸くした。
「何だよ、これ……」
『絶えず吹き荒れる、善と悪の風だ……!』
そう……かつて、翔太郎たちに力を貸した祈りの風は、決して正しい者たちだけが齎した物ではないのだ。
はした金の為に争い合った者も、園咲家も、風都の仲間も……あらゆる人間の想いが寄り添い合う場所が「街」であり、「風」なのである。
善と悪──人間が持つ二つの性質が混ざり合い、だからこそ巨大な風になりえた物だった。そして、それは今もそうだった。
そう、世界には、絶えず善と悪の風が吹き続ける……。
「英霊たちの力……ってやつだな」
『ああ、俺がこれまで、色んな時空で共に戦った黄金騎士たちの力も少しだが感じるぜ』
零とザルバもまた、冷静に力の正体を見極めていた。
歴代の黄金騎士たちが、過去も、未来も、時空さえも超えて、文字通りの「力」を届けている。──それをザルバは感じ取っていた。
その称号を受け継ぎ続ける彼らだからこその直感であろう。
「──変身という“力”そのものが……何かを変えようとする“力”が、私たちを、導いてくれているんですね……!」
それを起こしたのが誰であろうと関係はない。
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