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変身ロワイアルその6
644
:
BRIGHT STREAM(5)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:37:20 ID:RQpuUNRs0
「くっ……!! お前っ……!!」
「この艦を行かせるわけがないじゃないですか。確かに、面白い物を見る事ができるとはいえ……このまま、ベリアルたちの支配する世界の終焉をただ見守る方がずっと面白い……!」
「──ッ!」
血まみれの腕で、ブリッジのシステムを発動する。
もうすぐだ──あと僅かな距離で、辿り着ける。
目的の座標は間もない。
ベリアルの世界への扉はもう、すぐそこなのだ。
そうすれば、生還者たちは、アカルンの力であの世界に転送される。
そして、──きっと、勝ってくれる。
「──邪魔は、させない……! そう、命を賭けても……!! この艦は落とさせない……!!」
吉良沢の口から、より多くの血が吐き出される。
バケツから降ったような血の塊が彼の口より下に、まるで血液の川が流れたような跡を作った。システムにもそれが降り注いだようだが、幸いにも機器に影響はない。
だからこそ、確信をもって彼は告げた。
「僕達は──」
そう──それは、彼の最後の願い。
いわば、最後の悪あがきの言葉。
それでも、最後にそれだけの言葉を残せるのなら、やはり偉大であった。
「運命を変える」
【吉良沢優@ウルトラマンネクサス 死亡】
◆
美国織莉子は、その直後に魔法少女の姿へと変身した。
かつてないほどの怒りを胸に──しかし、戦闘の方法だけは、至極冷静に。
「オラクルレイ」
織莉子のスカートの裾から、「爆発する宝石」が投じされる。
オラクルレイ。
それらは、織莉子の任意で動き、敵に叩きつけられる事になるだろう。
普段は予知魔法の為の魔力が膨大すぎる為に、殆ど使われる事はないのだが──彼女は、戦闘においても一級である。
彼女の放ったオラクルレイは、時空魔法陣を通って、敵のヤマアラシロイド──ニードルの元に叩きつけられる。
「──何ッ!?」
時空魔法陣を通して、「向こう側」の声が漏れた。
そして、鳴り響いたのは爆音。ヤマアラシロイドの身体に、見事オラクルレイが命中したようであった。
向こう側からの爆風が、吉良沢の身体を揺らした。
だが、──彼はもう、死んでいた。それは既に彼の遺体である。彼の遺体に爆風がかかるのは厭であったが、残酷な言い方をすれば、もうそれは物でしかない。生きる者にこういう形でしか力を添えられないのかもしれない。
これ以上攻撃を受ける事を拒んだのか、その直後に、時空魔法陣が消えた。
「吉良沢さん……ゆっくりお休みください。あとは私が、あなたの分を補います」
織莉子は、吉良沢の遺体の近くに恐る恐るよると、そう告げた。
彼とは、運命を変えようとする者同士だ──。
吉良沢優という男には、目的が同じであるという繋がりがあった。それゆえに、共に行動しても大きな思想の違いや違和にぶつかる事はあまりなかったのだろう。
吉良沢ほどではないが、織莉子も頭の悪い方ではない。彼の話に何とかついていく事も出来た。あまり差はなかった。
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