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変身ロワイアルその6
643
:
BRIGHT STREAM(5)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:36:58 ID:RQpuUNRs0
この艦は沈むと──左翔太郎には、そう教えたはずなのに、彼はここに残ろうとしている。
運命が変えられると、彼も信じているのだ。
「僕も……僕も、命に替えても……運命を変えてみせる……! 僕達にはその為の勇気がなかったんだ……! ただ、それだけなんだ……! 人間は誰でも光になれる!」
自らの世界の運命に絶望し、それを阻止する為に他人を頼った吉良沢と織莉子であったが、その他人の口車に乗せられ変わった世界も、結局は束の間であった。
もしかすると、ただ平和に生きる人間たちを殺しあわせてまで勝ち取るような──そんな世界は、いずれにせよ崩れ去っていく運命だったのかもしれない。
彼らは──自分たちの力で、自分たちの居場所を守ろうとしてきた。その勇気があったのが、デュナミストとなった者たちや、円環の理だったのだ。
二人は、このしばらくの時で、それを痛いほどに教えられた。
最後に変える──この運命を変えて見せる。
「──償いましょう、一緒に」
「ああ……。彼らを絶対に連れて行く……!」
──そんな時、吉良沢の握る拳が、ふと、何かの感触を掴んだ。
彼の右の拳に、暖かい光が結集していく。
掌を解くと、やはりそこにあったのは、「光」だった。
しかし、その形がだんだんと吉良沢の手には見えてきた。
「見える……あの時のカラガイが。──そうか、これが光……!」
憐が海で取って来た光。
運命を変えた彼の見せた希望。
それが、今、──吉良沢の手に形作られてきたのだ。
吉良沢は、そっとそんなタカラガイの貝殻を包み、睨むように目を見開いた。
「これが、僕達の絆……!」
≪PULL UP!!≫≪PULL UP!!≫≪PULL UP!!≫
≪PULL UP!!≫≪PULL UP!!≫≪PULL UP!!≫
≪PULL UP!!≫≪PULL UP!!≫≪PULL UP!!≫
だんだんとテンポを上げていくブリッジの警告音。
しかし、それよりも早く──辿り着く。
そう、この光が見えたのだから。
運命は変えられると、かつて憐が教えてくれたように。
自分も運命を切り開いてみせる。
「──させませんよ」
と、そんな時、吉良沢の腹部に厭な感触が過った。
内臓が裂かれたかのようで──冷たくもなく、ただ、どちらかといえば熱いような痛みが、後ろから突き刺さった。
吉良沢の着用していた真っ白な服が、次の瞬間、鮮血に染まった。
「え……? ──……ゴフ、ッ!」
吐き出された血は、喉一杯分ほどに見えた。
吉良沢が、そんな状態でも恐る恐る背後を見ると、そこには、「腕」と「槍」だけがあった。
そう──その腕が、槍を持ち、その槍が、吉良沢の腹を突き刺していたのだ。
腕は、見覚えのある術式──時空魔法陣から発されていた。
他ならぬ、ニードルである。
彼は、ダグバやガドルが時間稼ぎをしている間に、外の世界に脱出を試みていたのだろう。──そして、ヒーローシンドロームによる消滅を免れ、吉良沢の腹にその槍を突き刺した、という事だ。
「ニー、ドル……!」
「吉良沢さん……!」
織莉子もそれに気づいたようで、吉良沢を呼びかける声を発する。
だが、吉良沢の腹を貫いた槍はあまりに太く、そして、先端の複雑な形ゆえに、「完全に貫かない限り外れない」という形状の槍であった。
裏切り者の始末というには、あまりに遅すぎ──しかし、タイミングだけは完璧な殺戮であった。
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