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変身ロワイアルその6
642
:
BRIGHT STREAM(5)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:36:40 ID:RQpuUNRs0
その時であった。
今度は、備え付けられたスピーカーから声が聞こえる。
『──君たちの覚悟を受け取った。この艦は目的地まで辿り着かせる。……そう、僕達が運命を変えてみせる』
吉良沢は、こちらを見ているのか、そう放送したのである。
生還者八名は、その言葉を聞いて、頷いた。──吉良沢優を知っている者もいれば、知らない者もいる。しかし、それが味方であるのは誰にもわかっただろう。
やがて、はやてたちの元に、ある男──オーロラを使って異世界を繋ぐ事ができる男が現れ、ベリアルの世界に耐性のない者たちだけを、安全な異世界へと運んでいった。
そうして、遂にこの艦に残ったのは僅かな人間だけになった。
たった八人の生還者と、これまで主催を補佐してきていた者たち──。
彼らには余りにも広すぎる。
しかし──目の前に迫っている決戦の地に彼らが目を背けるはずはなかった。
この広い船の中でで、ただ、彼らは待つ。
最後の戦いを────そして、新しい「助け合い」の時を。
◆
ブリッジの操舵は吉良沢が行っていた。
残ったのは、彼と織莉子だけだった。アリシアとリニスは、少し嫌がったが──クロノに任せた。意識の幼い少女を巻き込むわけにはいかないという、吉良沢と織莉子の計らいである。
それに、彼女たちには、織莉子や吉良沢のように、“罪”はない。
──幸いにも、吉良沢はこの艦に来た時にその構造を解し、その操縦方法や修理方法は一通り頭に入っている。プロメテの子としてのあまりに高すぎる知能がそれを可能にしていたのだ。
ただ、複数のオペレーターがいた心強さに比べると、いやはや、どうも心細さもある物だ。
たった一人が舵を握る船と言うのは、ミラーのない車両運転に似ている。
視界不良のまま、不安定な道を行く──そんな、安定とは無縁に前に進んでいく心理。
それに加えて、今は少しでも早く目的の座標に辿り着かなければならないだけに、スピードも出る。
「──くっ」
艦内のエネルギーがだんだんと下がっていた。燃料不足でも何でもなく、ただこの艦が消えかかっているからだろう。
ある意味、生命力が消えかかっていっていると言ってもいい。
「まだだ……まだ、大丈夫……運命は変わる!」
織莉子のビジョンによると、この艦は沈むらしい。
これと同じシチュエーションかはわからない。ただ、この艦は沈み、ベリアルの世界に辿り着く事なく、滅びるという。
──そうなれば、世界は終わってしまう。この艦が世界の最後の希望なのだから。
そんな運命を変えなければならない。
「……吉良沢さんっ!」
ただ、何て事のないように、世界の裏側で数十名が巻き込まれた殺し合いも、いつの間にか、世界全土を巻き込む最後の戦いへと変わっていた。
そして、彼らは、それをもう一度もっと身近な物へ──「助け合い」へと変えようとしている。
運命を変えようともがいているのだ。
それを吉良沢はどう見たのか──。
「憐……」
吉良沢は、ただ拳を握った。
絶対脱出不可能な監視された施設から抜け出し、海に行ってタカラガイを持ってきた彼の事が、吉良沢には思い出せた。
ここにいるのは、そういう者たちばかりだ。
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