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変身ロワイアルその6

641BRIGHT STREAM(5) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:36:24 ID:RQpuUNRs0

「金の腕のエターナル、か……! やっぱり、あいつらが力を貸して……!」

 仮面ライダーエターナル、響良牙の両腕は、金色に変わっている。
 言うならば、それはただ一人、良牙だけにしか変身できないエターナルの姿であった。
 赤き炎は青へ、青き炎は黄金へ──そう、ゴールドフレア。
 その瞳に輝いている色と同じであった。

「凄い……パワーが溢れてきます……! それに、みんなの想いを感じる……!」

 ヴィヴィオが両腕を見つめる。
 自分の中にかつてないほどの力を感じた。──そこには、アインハルトや、高町なのはや、フェイトや、ユーノや、スバルや、ティアナや、乱馬や、霧彦や、祈里たちの力が込められているような気がした。
 ただ一度だけ、世界を救う為にあらゆる物が力を貸してくれている。
 ベリアルを倒し、今度は殺し合いではなく、助け合いの世界に変身させる為に──。

「──まさか、あんたたち、脱出、せんのか?」

 警告音をバックに、はやては、不安そうに訊いた。
 今、彼らの元に力が宿ったのはわかっている。だが、だからといって、この艦にいれば、ベリアルの世界に辿り着く事もなく、次元の狭間に置き去りにされてしまうかもしれない。何せ、この艦はこのまま消えてしまうのだ。
 生還者たちは、お互いに顔を見合わせた。──それぞれの決意は固まっているが、誰かが別の解答を望んでいるならば、巻き込むべきではないと思ったのだろう。
 だから、八人は、全員、残る七人の顔色を見た。

「……」

 しかし、あくまでそれはちょっとした確認であった。
 既に、お互いが何を考えているのかは、誰にでもおおよその察しがついている。──そう、ここしばらくの戦いや冒険が互いのパーソナリティをしっかりと教えてくれた。
 真っ先に口を開いたのは、ダブルであった。

「ああ……俺たちは、この艦に最後まで付き合う。今は、ディケイドの力じゃベリアルの世界に渡れない……アースラじゃなきゃ渡れないんだろ?」

 その通りである。
 生還者が世界を渡る方法は、今のところ、これしか見つかっていない。例外的に存在するのが、時空を超えられるウルトラマンゼロと合体し、参加者の「変身ロワイアルの世界に行ける力」と、ゼロの「時空を超える力」を相互的に補完する方法だが、これも既に不可能だ。
 ディケイドやラビリンスの人間のように、ただ世界を越えられる力を持っていても意味はない。
 最後に賭けられるのは、こうしてこの艦に残り続け、ベリアルの世界に向かう事。
 出なければ、どちらにせよ宇宙は消滅し、すぐにでもお互いが消滅してしまう。

「──そうですね。この力を無駄にするわけにはいかないですし」

 ヴィヴィオが、力強くそう言った。
 おそらく、この力が彼らにあるのは一時的な奇跡のような物だ。長くは続かない。
 仮に一週間以内に再び別の艦が来るとしても、この力を使う事は二度とできなくなってしまうだろう。
 折角得た力を無碍にしてしまうわけにもいかない。

「言った通り。この艦は、フェイトやユーノが力を貸した艦だ。きっと、あたしたちを最後まで乗っけてくれる」

 杏子がそう言った。
 いま名前を出した二人にまた会い、──そして、許しを得た為か、彼女の心は晴れやかだった。

「そうか……。それなら仕方ないな」

 はやても、彼らを自らの元に連れて行く事は出来なかった。
 それはある種、冷酷な事でもあるのだが──その判断が、指揮官として正解であるのも彼女は理解していた。
 彼女たちを異世界に連れていける方法はこの艦しかない。そして、彼女たちが戻ったところで、彼女たちを異世界に連れていく方法は心当たりもない。
 いつ沈むかわからない泥船であっても、彼女たちをこの船に乗せて送るのが正しい手段なのだ。──それでも、はやては、今度は、先ほどとは逆に彼女たちを連れ戻したいと思っていた。
 しかし、いま、はやてはその考えを続けるのをやめた。
 この賭けこそが、彼女たちの方が選んだ選択なのだから──。


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