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変身ロワイアルその6
639
:
BRIGHT STREAM(5)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:35:47 ID:RQpuUNRs0
「ヴィヴィオ、さん……」
ヴィヴィオの前にいる者たちの身体が、だんだんと粒子の粒になっていた。粒子の粒は、滴が逆さに上るように空へと舞い上がり、彼らの頭上で消えていく。
そうだ、先ほど倒されていった敵たち──ダグバ、ガドル、ガミオもそうであった。
いわば、それは彼ら、「闇の欠片」が消える前の合図──。
まるで、祭りの終わりが近づいてきたような感覚だ。
「……まさか闇の欠片が──消滅し始めている……?」
──アースラの消滅とほとんど同時に、そこにいた闇の欠片たちも自動的に消滅を始めようとしていたのである。
そう、確かに──闇の欠片にも限界がある。
しかし、まさか、この瞬間に来る事になるとは、誰も思いもよらなかっただろう。
「そんな……!?」
「────時間だ」
割り切ったように、エターナル──大道克己がそう言った。
そして、彼らの誰も、自身の身体と心がここから先、遂に消えてしまう事への恐れが、全くないかのようだった。
死神の代表格としてここに支援を行った彼であるが、どうやら、もう消え時のようである。
すると、誰かが言った。
「そうか……短い間だったが、また、共に戦えてよかった。俺たちの誇りだ」
「みんな、必ず悪い奴らを倒してね!」
「元気でな、元の世界に帰ったらあいつらによろしく頼むぜ」
「大丈夫です、私のせいで艦が沈むって言ったけど……この艦は沈みません!」
五十人以上の言葉が、同時に重なった声──それを全て聞けるはずもない。
だが、それぞれが言いたい事は誰にもわかった。「ベリアルを倒してほしい」、「共に戦えてよかった」、「元の世界の仲間を頼む」──まるで寄せ書きのようだ。円になっている字面を見れば、だいたい何が書いてあるのか予想もついてしまうほど単純な言葉で飾られるが、その言葉の一つ一つが胸を打つ、そんな感覚。
それでも、そんな寄せ書きを遮り、誰かが口を開いた。
「──待って!」
ヴィヴィオだ。彼女の闇の欠片たちを呼び止める声が響いた。
彼女にもまだ、挨拶をしたい人がいる──。たくさんの人に何かを伝えたい。
だが、それが出来る時間は残されていなかった。
ヴィヴィオが手を伸ばすと、その先には、消えゆく人たちの──変身を解除した際の、人間としての笑顔である。
彼らは生者を見送ろうとしていた。
──そう、そこにあるのは、五十名の笑顔。
「あっ……」
そして──、次の瞬間、闇の欠片たちは、一斉に泡と消える。狭かったその場所が、あまりにも大きく、広くなった。
──ヴィヴィオの手は空を掴んだ。あまりに儚く。
残ったのは、左翔太郎、響良牙、高町ヴィヴィオ、花咲つぼみ、佐倉杏子、涼邑零、涼村暁、レイジングハート、八神はやて、ウエスター、サウラー……それから、残りのクルーたちだけだ。
「そんな……」
敵がいなくなり、味方もいなくなった場所は、まるで全ての屋台が片づけられた祭りの跡のように広々としていた。手を伸ばしても誰のぬくもりにも届かない。
せめて、告げたかった別れの挨拶も結局告げる事はできなかったのだ。
何かを返す事はできなかったのだろうか──。
「……!」
だが──「闇の欠片」の想いは、決して、それだけに終わらなかった。
「これは──」
次の瞬間、分解した闇の欠片は、一つの場所に自ずと集合して、一筋の風として吹き始めたのだ。
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