したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

変身ロワイアルその6

638BRIGHT STREAM(5) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:35:30 ID:RQpuUNRs0

不意に、また突然あの警告音が鳴り響いたのである。
 それは、ブリッジから発された警告──つまり、クロノ・ハラオウンによる物だろうと誰もが思った。テッカマンによる援護が功を奏し、ブリッジの状態も復元されていたのだ。

 しかし、何故今更こうして警告が鳴り始めたのだろうか。
 危機的状況は終わりを告げ、今更こんな警告を鳴らす必要はまるでないかに思われた。







 ──警告と共に、放送が始まった。
 それは、六時間に一度だけ殺し合いを誘発する悪魔の放送とは違う。ここに搭乗している者に、安全を──そして、脱出を促す為の声である。
 ブリッジからの通達であるが、その放送を担当した人物の声に、ヴィヴィオや翔太郎は少しばかり驚いた事だろう。

『──乗員のみんな、よく聞いてくれ。この艦の存在が消滅し始めている!』

 吉良沢優の声であった。
 クロノもおそらくその場にいるはずなのだが、放送の声はまぎれもなく、あの殺し合いの主催者側に協力した吉良沢である。そういえば、翔太郎は──「艦が沈む」という予言を彼から聞いていたのを思い出した。
 こちらが優勢に立ち、すっかり失念しかけていたが、考えてみれば、この艦が沈められるリスクがあったという事。
 それと何らかの関係があるのではないかと翔太郎は勘ぐる。

『この艦がこの時代で再び存在していたのは、高町なのはたちの「過去の死」が原因だ。……だが、ここで彼女たちが生命力を発揮しすぎた。──そんな彼女たちの存在がこの世界線上に認められ、同時にこの艦が消えようとしている』

 人々の視線は、なのはに向けられた。──彼女に限らず、フェイト・テスタロッサやユーノ・スクライア、スバル・ナカジマやティアナ・ランスターも同じなのであるが、こうして名指しされると、皆そちらに目をやってしまう。

「えっ……?」

 当のなのはも全くの無自覚であった為に、そう言われてもどうしようもなかった。
 ただ、レイジングハートを握りながら、当惑するのみである。
 自分が現れた事が原因──と言われても、それはどうしようもない話だ。闇の欠片として再誕した者は、当然ながら自分の境遇と照らし合わせ、彼女を責める事は出来なかっただろうし、なのはの仲間が多くいるこの艦の人間も同じく彼女を責めなかっただろう。
 この艦自体が、元々、彼女のお陰で保たれたようなものなのだから。

「まさか……ニードルが闇の欠片を使ってなのはたちのデータを再生したのは──」
「そうか……この艦の存在を消滅させる為の作戦の一つだった!」
「闇の欠片そのものが、ニードルによる妨害工作だったんだ!」

 そんな誰かの言葉で、ニードルがわざわざ闇の欠片を使った事の真意の一部を汲み取った。彼にしてみればゲーム感覚でもあったのだろうが、それに限らず、彼は着実にベリアルの側に利益を齎している。
 なるほど、闇の欠片騒動や怪人騒動は囮であり、それによって艦を沈めるのが狙いの一つだったのだ。

『──この艦は間もなくここで消滅してしまう。載っているみんなは一刻も早く脱出を! 外の世界の救援が間もなくそちらに向かう』

 放送はそれで終わり、警告音も止んだ。
 ただ誰もが呆然と立ち尽くすのみであった。──この艦が消える。
 そうなれば、ベリアルの世界へと向かう術はなくなってしまう。ディケイドたちが個人の力で開く事はできない。
 いわば、この艦こそが最後の要なのだ──。
 そして、その連絡とほとんど同時に、もう一つ不測の事態が発生しようとしていた。

「……えっ!?」

 ──それは、まさしく不意のタイミングだった。
 かねてより言われていた事であったが、よもや、この艦が消滅すると同時に──。

「アインハルトさん……!?」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板