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変身ロワイアルその6

636BRIGHT STREAM(5) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:34:18 ID:RQpuUNRs0

 そう、巡っていくはずの因果が断ち切られようとしている。
 誰かが我慢する事で──いや、誰かが許す事で、回り続けるはずの怨念の連鎖は断ち切られようとしているのだ。
 キュアブロッサムが、かつてキュアムーンライトに言ったはずの言葉を思い出し、ぐっと唾を飲み込んだ。

「サカナマル!!」
「バルディッシュ!!」
「ロープアーム!!」

 あらゆる攻撃が三体のグロンギにぶつけられていく。
 この艦を守る為の最後の仕事としてか──、彼らはひたすらに拳を握り、武器を取る。
 ほとんどの攻撃はグロンギたちには効いていなかった。──しかし、それらが微弱ながらも彼らにダメージを与える。
 それを繰り返せばいいだけの話だった。

「──猛虎高飛車!!」

 そして、その時、ダグバを攻撃する声は、まぎれもない早乙女乱馬そのものであった。
 エターナルは──良牙は、彼を見ながら呆然とする。
 かつて彼が戦ったダグバ……だからこそ、乱馬は己を勝負で圧倒した(敗れたとは口が裂けても言わないだろう)相手に、再度勝利を収める為に立ち向かっているのだろう。
 つくづく彼は負けず嫌いで恐れを知らない人間らしい……。

「──乱馬!」
「良牙、何やってやがる!! お前もさっさと手伝えよ!!」
「あ、ああ……!」

死人の癖に、まるで普通に接してくる乱馬だ。
 彼がそう叱咤する声は確かに耳に入っていたが、嬉しさか、悲しさか、何かが邪魔をして良牙の身体を動かさなかった。
 しかし、闘志がないわけではない。ただ、彼の姿を見た時に何故か動けなくなった。
 この場で生還者たちの動きがどこか鈍いのは──彼と同じ気持ちかもしれない。
 誰もが、ここで戦う死者に知り合いがいる。そして、その人の死を受け入れ、今、また死者と別れようとしている。

「……」

 死人還り。──そう、儚い夢の如し。
 このただひとときの幻想の中で──動きが止まってしまうのも無理はないかもしれない。
 そんな時、良牙の前を、クウガと似た──しかし、微かに意匠の異なる戦士が横切った。

「……あかねさん」

 プロトタイプクウガの仮面に身を包んだ少女は、エターナルを見て立ち止まると、ただ、頷いた。そして、エターナルの前を通り過ぎて行った。
 彼女もまた──本当に、最後に良牙の名を呼んだように。
 この、僅かな命の再来の機会に、罪を償う為に──。

(これが最後のチャンス、か……)

 そうか──。
 これが、乱馬たちと共に戦える最後のチャンスだ。
 乱馬とはまたいずれ、雌雄を決する時が来るだろう……だが、その前に。
 また、一度、パンスト太郎たちと戦った時のように──やってやる!

「猛虎高飛車!!」
「獅子咆哮弾!!」

 乱馬と良牙──二人の放った気弾が、ダグバの身を一瞬で包んだ。それは彼の放つ炎よりも速かった。
 強敵の体躯は、その二人の合わせた気弾によって、一瞬にして数十メートル後方まで吹き飛んだのである。

「────ッッ!?」

 正と負のスパイラルがダグバの身体に深刻なまでのダメージを与える。
 勝利への確信と、悪への怒り──この二つが混ざり合った結果であった。

「「「「「「「「「「プリキュア・ハートキャッチ・フォルテウェイブ!!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「オールライダーキィィィィック!!!」」」」」」」」」」


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