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変身ロワイアルその6
630
:
BRIGHT STREAM(4)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:31:05 ID:RQpuUNRs0
それこそ、全く以て「裏正と同じ姿」の剣は、アースラに召喚された際にその手に在ったはずなのだが、これがどうも十臓の手に合わなかったのだろう。奇妙な違和感を覚え、十臓はある結論を下した。
もう、妻の魂が込められた裏正は何処にもない、と。
その時、彼はその模造品を捨て去った。──彼が裏正に拘るのは、それがただ猛き刀だからというわけではないのだ。
妻の魂が打ち込まれていてこそ斬る甲斐があった。
「──不服だ。仮面ライダーエターナル……貴様と再び会える時、俺の手には必ず裏正があるものと思ったが、既に裏正と同じ剣はこの世にないらしい」
十臓はこの場で七人の注目を浴びながら、その中のただ一人にだけ目を向けていた。
肩を上下させ、アクマロの様子に注意を向けながらも、やはり十臓の事は気がかりで彼に視線を当てた。──尤も、アクマロの方はあまりエターナルなど気に留めずに十臓を凝視しているようだったが。
アクマロが、先に口を開いた。
「……これはこれは、十臓さん、良い所に来てくれました。どうですか、我は今、このエターナルたちを倒し、この世に地獄を──」
「──黙れ。俺はエターナルに話をしている」
返答は、一蹴。
それも即答であった。アクマロが少し動揺した様子を見せた。
エターナルが代わって口を開いた。
「妖怪……お前は俺に敗れた。もう俺に挑む資格はない。……いや、仮に挑んだとしても、お前は俺の前に成す術もないだろう」
「そうとは限らんぞ。俺はまだ、あの斬り合いの続きを楽しみにしている。……いや、だが、今の俺に用があるのはお前じゃない。──俺は今、シンケンレッドという男を探している。今の俺が求めるのはその男との決着のみ」
「この中にいねえなら、そんな奴は知らねえなッ! 他を当たれ!」
しかし、エターナルの言葉と共に、アクマロは頬を引きつらせた。
彼だけは、十臓が戦いを拘り続ける「シンケンレッド」について知っている。──そう、血祭ドウコクと共に見たあの外道。
アクマロの二つ目の命を消し去ったのは、他ならぬシンケンレッドだが、それは既に今までのシンケンレッドではなかったのだ。
「……知りたいですか? 十臓さん」
「何? 貴様が知っているのか?」
「──シンケンレッド。……ええ、存じております。……ふふ、……ええ、彼は外道の道に堕ちました……! あなたが決着をつけたがっていたシンケンレッドはもう、あの血祭ドウコクの配下です……! ふふふふふふふっ!!」
外道──今のシンケンレッドは、まさに、そう呼ぶに相応しい。そして、地位さえも剥奪され、ドウコクに忠実な家臣となったのであった。
十臓は眉を顰め、アクマロがいやらしく笑った。
あまりにも困惑した様子の十臓を前に、アクマロは笑い続けた。
「さあ、それが彼とあなたの決着です……! もう拘る必要はありません。我と共にこの艦を地獄に鎮めましょう……十臓さん!」
しかし……どうしてか、十臓は、アクマロの告げた事実に、思いの外すぐに納得した。
彼自身、シンケンレッド──志葉丈瑠の本質を何処かで見抜いていたのだろう。既に影武者であろう事は予測していたし、ゆえに、いつか外道に堕ちるかもしれないという所までは知っていた。
だが──その引き金を引くのは、自分自身だと思っていた。
──いや、十臓はそうでありたいと望んでいたのだ。
それも、あの殺し合いの結果、潰えたらしい。
それを想うと、今度は十臓の方に笑みが浮かんできたのであった。
「──ハハハハハハハハッ……! そうか、奴はもう外道に堕ちたか……ならば、……ならば、俺もこの世に用はない……!」
人斬りの、自棄の笑いが木霊する。しかし、それは、あまり悲壮感もなく、すぐに納得して受け入れてしまったがゆえの声だった。
腑破十臓──この男はつくづく哀れだ。
何の理由もなく、ただ斬り合いだけを生きがいとしてきた男である。そんな男の悲願など、最初から叶えられようはずもなかったのだろう。
しかし、結局、自分の目算通り、自分と同じに志葉丈瑠が堕ちていったという事実は何処か笑いが出てしまった。
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