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変身ロワイアルその6

620BRIGHT STREAM(4) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:27:27 ID:RQpuUNRs0



 武器庫。
 ──ここは、武器庫といっても、普通の部屋であった。あくまで、回収した武器の内、危険性の高い物を厳重に保管している場所に過ぎない。
 はやて、つぼみ、杏子、ヴィヴィオの四名が向かったのは、其処であった。
 管理システムの前と異なり、彼女たちを追ってくる敵は全くいなかった。──それだけ、武器庫が普通の部屋の中と区別がつかなくなってしまっていたという事だろう。部屋の用意が出来なかった事が、却ってフェイクになったらしい。
 つぼみが、その部屋のドアの前ではやてに訊いた。

「ガイアメモリが保管されているんですよね。……あれを使っていいんですか?」
「──二人に与える武器は、ガイアメモリやない。あれは、おそらくあの会場以外で普通の人間がドライバーなしで使えば暴走の危険性がある物や。……それに、マキシマムドライブの為に使えるとわかっているから、もう全部良牙くんたちに預けてある」
「……じゃあ、何でこんなところに来たんだよ」
「……」

 はやては、彼女たちに何も言わなかった。
 ただ、その部屋のロックを指紋と瞳孔の認証で解除し、魔力を部屋の鍵の代わりにその場に流しこむ事で、ドアを開ける。
 本来、はやて以外はその部屋に立ち入る事はできないはずだった。
 そう、この認証がある限りは──。

「──ッ!?」

 ──が、その武器庫に入った瞬間に、自動的に部屋のライトが灯ると、先客がいた事が判明してしまった。
 入室した瞬間である。その部屋に置かれていた武器をその手に掴み、漁り尽くそうとしていた不気味な怪人の姿を間近に目撃する事になったのだ。
 四人が敵に驚いた時、相手もこちらに気づいた。

「ザレザっ!?」(誰だ)

 訊いたのは、侵入者の方だ。その侵入者は、異民族の言葉「グロンギ語」を使用していた。
 ──バトルロワイアルの参加者の一人であり、殺し合いに乗る側だった存在だ。
 だが、結果的にその怪人は誰一人として倒す事が出来ないまま、仮面ライダーやアインハルトに敗れ去り、力を失った所でノーザの洗脳を受けたスバルに屠られたのである。
 ここにおいても、誰とも協力する事なく、こうして隠れ潜んで力を得ようとしていたわけだ。──武器を得て、より強力になりたかったのかもしれない。

「ゴオマ……ッ!」

 ズ・ゴオマ・グ。
 グロンギの怪人の一人であり、その姿は究極の力を借りた後の姿であった。不完全ゆえ、その頭髪は焼けたように縮れて膨らんでいたが、その力は彼女たち人間の比ではない。
 たとえ、はやてやヴィヴィオがいるにしても、この二人だけでは少々力不足だ。

「──まずいっ! 逃げてっ!」
「ビガグバっ!」(逃がすかっ!)

 闇の欠片によって現れたゴオマは、彼女たちの元に歩きだし、逃げ切れなかったはやての首根をとがった指で掴んだ。閉じたドアを背にしてしまったばかりに、すぐに逃げ出せるような逃げ場はなかったのだ。
 頸動脈を絶たん勢いで硬く掴んだゴオマの力に、はやても危機を覚える。変身していないつぼみたちが狙われたならば、その時点で殺されたかもしれない。そんな危険な状況だったのだ。

「くっ……」

 しかし、この部屋にこうして先に侵入者がいるとは、はやてもこれまで思っていなかった。
 ──考えてみれば、克己たちが違うだけで、闇の欠片に再生された者は、時折、ランダムにあらゆる場所に転送される性質を持っている。
 そう考えると、ブリッジや転送室を含め、既にこの艦に安全圏などないのかもしれない。

「八神さんっ!」
「くそっ……離れろっ! バケモン!!」

 ガドルたちの恐ろしさは、つぼみや杏子もよく知っている。
 だが、立ち向かわずにはいられない。無力だとわかっていながらも、はやてを助けるべく、つぼみと杏子はゴオマの身体を蹴り倒そうとする。


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