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変身ロワイアルその6

609BRIGHT STREAM(3) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:23:47 ID:RQpuUNRs0
 つぼみが、あまり警戒する事なく、エターナルの元に近寄った。

「克己さん……」
「よう、プリキュア……お前には随分良い夢を見させてもらったな。そいつにだけは感謝してやってもいい」

 其処にいるエターナルは、確かにつぼみが死に際までを見届けた大道克己その人だったようである。心には母親への微かな愛情さえ残して現れているのだろう。
 しかし、それを得ても尚、彼は素直な言葉をつぼみに向けようとはしなかった。
 どこか偽悪ぶった口調でもあった。つぼみは克己を信じるが、かつて彼を悪人として葬った翔太郎は信じ切れていないようだ。生身で、エターナルに詰め寄る。

「……大道。まさか、お前、また、生きている人間を全部、お前と同じ死人に変えるなんて言わねえよな。だとしても、俺たち仮面ライダーやガイアセイバーズが──」
「だから、さっき言っただろう。今の俺は死人ですらないと──大道克己を模した、大道克己とは別の、いわばデータ人間さ。俺に生者を死人に変えるメリットはない」
「……じゃあ何が目的だ? 今度は人間を全部データ人間でも変えるのか?」

 翔太郎としては、尚更、訝しむ場面であった。克己の蘇っての企みが何なのか──それによって、翔太郎は彼を再び倒さなければならない。
 ロストドライバーとジョーカーメモリを両腕で持つ。
 それを見ていると、エターナルの声は、照れるようにふと笑った。悪役ならではの自嘲気味な笑みが、その後の言葉の意味を、翔太郎に聞かすのを遅らせる。

「──今日限りだ。俺“たち”は、この船に乗りかかった奴らが当面の敵を倒しに向かうまで、ここにいる全員を全面的に援護し、出航を手伝う」

 翔太郎だけではない。誰もその意味を一瞬では理解しなかった。
 悪い意味を前提と考えた者が多かったからであろう。
 エターナルは続けた。

「……まっ、そこから先に行きつく場所が地獄になるか、それとも今まで通り生きていられるかは、お前ら次第って所だな」

 すると、エターナルの言葉を合図に、彼の後方から数名の怪人が現れた。一斉にその姿に注目が集まり、驚いた者もいた。
 否──しかと見れば、それは、怪人と一概に言うべき相手ではなかったかもしれない。
 ナスカ・ドーパント、ルナ・ドーパントの不揃いな二名が構え、翔太郎を見据える。
 赤い仮面ライダーもそこに並んでいる。──誰もが姿にだけは見覚えがあった。

「お前……まさか……」

 その名は、仮面ライダーアクセル。
 その意匠だけは、石堀光彦による変身で見た事のある人間もいるだろう。──だが、その戦士には、既に死んでしまった真の変身者がいた。
 アクセルは、懐かしい声で、翔太郎に告げた。

「──記憶の欠片が再生しているのは、大道一人じゃないぜ」
「照井! お前も、大道たちに協力するのか……!?」
「俺に質問するなッ!」

 ──ああ、それは、あの照井竜の声で間違いなかった。
 だとするのなら、ナスカ・ドーパントはやはり園咲霧彦であり、ルナ・ドーパントは泉京水という事だろうか。

「ヴィヴィオちゃん。元気そうで安心したよ」
「霧彦さん!?」

 やはり──そう。
 彼らは、死者と同じ人格を有した『闇の欠片』なのだ。その想いと姿に限っては、確かに彼らの心強さが再現されている。変身後の姿を模してはいるが、それは確かに彼らの魂を引き継いだ戦士たちだった。
 リニスの想いを再生した闇の欠片が、フェイトの成長を見つけ出そうとしたように──優しさも強さも捨てず、まだ戦い続ける。
 そして、彼らはベリアルの野望を打ち砕こうという想いに限り、確かに共通し、その点においては、ガイアセイバーズと結託しうるのだった。

 ──きっと、これが彼らとの、最後の共闘となるのだが。

「あなたたちの仲間の援護は始まってるわー! 艦のみんなも守護(まも)ってアゲてるみたいだから、友達も心配しないで先に進んじゃってOKよ!!」
「お前……」


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