したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

変身ロワイアルその6

601BRIGHT STREAM(3) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:19:56 ID:RQpuUNRs0



【破】



 ──それから、ニードルによる襲撃が行われたのは、夜だった。
 時刻は、「五日目」が始まりを告げる頃である。──午前0時、きっかり。一つの作戦として、決行時刻までが定まった計画性のある襲撃のようだった。敵方集団がカウントダウンまで行い、妙に盛況していたのはまさにそれゆえだ。
 ニードル一派はこの瞬間を、暁の動向を観察し始めたその瞬間から心待ちにしていた。

≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫
≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫
≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫

 異物の侵入を認めた艦は、必死に警告音を流し続けた。
 ニードルは、何事もないような暢気な表情で天井の隅を見上げる。
 そして、再度真正面に向き直った彼は、自分の周囲にいる全体の一握ほどの部下にだけ、意味もなく、命令を告げた。

「……さて、思う存分暴れてください。それがあなた方の任務です」
「イーッ!!」

 アースラの内部に、九つの時空魔法陣が開眼し、そこから武装された怪物たちが召喚され、活動を始める──。
 ニードルたちの目的は、アカルンを利用した時空移動システムの破壊と、この場にいる生還者及び吉良沢優らの殺害にあった。しかし、それだけではなく、彼個人が悦に浸っている素振りもあった。
 足止めの為に再生された数千の怪人軍団は、三分が経過しても未だに入り切れずに時空魔法陣から放出されていった。
 アースラのシステムはそれから三分以内にその異常を確認し、艦内全域に放送を始めた。

≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫
≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫
≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫
≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫≪WARNING!!≫

 艦内に響いた音が、眠りかけていたクルーの六割の目を一瞬で覚まさせる。
 生還者余名がベリアルの元に向かう予定日は、明後日(あくまで感覚的に。日付的には明日)──六日目だった。一日だけ準備の猶予があるとはいえ、それまでにある程度規則的な睡眠をしてコンディションを整えようと、それぞれ寝床には付いていた状況だ。
 しかし、彼らも、うつらうつらとしながらも、やはりすぐには眠りにつく事ができず、多くはあくまで“眠りかけ”と言っていい。
 日付変更と同時の警告音がそんな彼らの頭を冷やし、それぞれを慌てて部屋の外に出すに至った。近くの部屋にあった生存者余名は互いに寝間着のまま顔を見合わせる。全員が同じ行動を取ったようで、未だ眠り続けている者は誰一人いなかった。

『艦内に敵勢力が侵入! 艦内に敵勢力が侵入! 各自警戒態勢! ロストロギアの反応があります! 指示に従って行動してください!』

 絶対安全だったはずのアースラに向けられた二度目の奇襲。
 だが、時空の果てまでも追ってくるベリアルたちを前に、絶対安全な領域など既に存在しないのかもしれない。それは薄々気づいていたが、なまじ一日や二日耐えただけに、安心感が芽生え始めていた。
 問題は、それを外部からの攻撃を中心に考えていた事であり、内部侵入は当初から殆ど想定されていなかったハプニングである事だろう。改修時には、いかなる手段を以ても、敵はこちらの座標を確認できず、内部の結界へと入り込む事は不可能に設計していた。
 だが、ニードルは暁の衣服に小型の虫型偵察メカニックでも忍ばせたのだろう。それが敵に座標を知らせ、時空魔法陣を発動させる術の一つとなった。

 外は亜空間。──現状では、生身の人間には、逃げ場がない。
 内部に群がる大量の再生怪人軍団たちに、既に何人かの時空管理局のメンバーがすぐさま応戦を始めた。生還者たちの寝室を守る為、まずは、戦闘要員のクルーが四方に散らばる。
 夜中である為に判断能力は全くといっていいほど追いついていないものの、艦内の戦闘要員は殆ど、命令を受けて怪人たちの前に立ちはだかる事になった。

「イーッ!」
「GAAAAAAAッ!!」
「コマサンダー!」
「ナケワメーケェ!」
「ソレワターセ!!」
「デザトリアーン!」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板