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変身ロワイアルその6

598BRIGHT STREAM(2) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:18:04 ID:RQpuUNRs0
 フェイトと瓜二つの少女が興味深そうに、翔太郎を見つめている。その瞳が、彼にはどうしようもなく耐え難かった。

「……左翔太郎さんですね」

 織莉子は、そんな翔太郎の方を見ながら、冷静にそう返した。翔太郎は呆然とした顔付きのまま、織莉子の方を見た。
 彼女の目つきは、生きている者のそれとは思えないほどに腐りかけていた。そんな瞳で見つめられる翔太郎も、僅かばかり緊張する。

「……ああ」

 この艦の中にある暗部が、この三人の存在であるように思えた。──主催側に協力し続けた織莉子が、拘束されるわけでもなく、こうしてアースラの奥で何名かの人間と共にいる。
 ただ一人、彼らと面会する事になった翔太郎であるが、この場に三人もいる事は予想外であった。

「なんで、あんたがここにいるんだ。隣の二人も……あんたの仲間か?」
「……ええ。私たちは、主催側に協力し、それを離反した三人です。こうしてここに隠れている理由という意味なら──それは、あなたたちと会えばカドが立つという配慮の為だと思われます」

 翔太郎は知らなかったが──それは、主催側の人間たちのようだ。
 そして、彼らはクロノやはやての配慮によって、こうして隔離されている。──実は、ヴィヴィオや杏子など、彼らに会っている人間はいたのだが、彼らのうち誰とも面識のない翔太郎以降の来航者は、この三人と会うのを意図的に避けるようにさせられていたのだ。

 被害者と加害者の関係である以上、やはり余計な諍いが生まれる事が必至であると言えたのだろう。
 特に、元々ここに来るかもしれなかったドウコクなどの事を考えれば妥当な判断だ。

「……ただ、厳密に言うと、アリシアは主催の協力者とは違う。あくまで、主催に協力した人間の娘だ。その人の名前は、プレシア・テスタロッサ。──君と遭遇したフェイト・テスタロッサの母だ」

 白い服の男がそう言い出した。
 プレシア・テスタロッサ、それに、アリシア・テスタロッサの名前は、フェイトの口から聞く事こそなかったが、変身ロワイアルに関する全参加者のデータや参加前の動向については、殆どプライベートなレベルの話まで公開されている部分がある。全員は把握していないが、翔太郎がフェイトの事を隅から隅まで把握しなかったはずがない。
 フェイトがアリシアのクローンであるという事実もまた、あらゆる場所で翔太郎は聞く事になっていた。──尤も、翔太郎の知るデータが正しければ、プレシアもアリシアも死人であるはずだったが。
 とはいえ、今更死人の存在で驚くはずもない。元々、フィリップと照井以外は死んだはずの知り合いしか参加していなかったくらいである。大道克己も泉京水も、NEVERという死人であった。──これで驚かなくなる自分も少し怖い。
 ただ、それより、目の前の男の事も、翔太郎は知らなかった。

「あんたは……?」
「僕の名前は吉良沢優。ウルトラマンの世界からやって来た。言ってみるなら、異星からの来訪者とコンタクトを取る事ができる超能力者っていう所かな」

 吉良沢優──こちらは完全に聞いた事のない名前だ。
 ここまででもほとんど彼の名前が出てくる事はなかったが、もしかすると、彼の出身の世界である孤門一輝ならば何か知っていたかもしれない。
 それから、超能力者というのは、少々気になった。
 彼も変身するのだろうか──、と翔太郎は考える。

「──そして、織莉子は、魔法少女の能力で予知をする事ができる」

 付け加えて、吉良沢が言った。
 翔太郎は、黙って彼らの方を見つめていた。いつ攻撃を仕掛けられても良いように、ジョーカーメモリを握ってはいたのだが、吉良沢たちに敵意の影は見当たらない。

「正直に全てを話すよ。僕たちは、それぞれの願いと引き換えに財団Xにこの能力の提供と、協力をした。ただ、ベリアルの事は僕たちもこれまで知らされていなかったんだ」
「願い? ……あんな事を手伝ってまで叶える願いなんてのがあるのか?」
「──僕たちは二人とも、予知能力者だ。僕の出身であるウルトラマンの世界や、彼女の出身である魔法少女の世界が近々崩壊する事は僕たちも予見していた。だから、その崩壊を止める為に協力したんだ」

 ──そう言われ、翔太郎は眉を顰めた。


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