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変身ロワイアルその6

595BRIGHT STREAM(2) ◆gry038wOvE:2015/09/02(水) 18:16:45 ID:RQpuUNRs0
 それで、むしろ、誰も触れない話題にいとも簡単に触れる事ができて、枷が取れたように楽になったともいえる。
 と、その時であった。



「────安心したまえ、プリキュアよ!!」



 どこからか、これまでに聞き覚えのない男性の声が聞こえて、二人は咄嗟に警戒体勢を取った。周囲を見回すが、男性の姿など、どこにもない。しかし、声は間違いなくその部屋の中から聞こえたはずだった。
 幽霊にでも会ったかのように怯えながら、二人は目を見合わせる。

「だだ、誰だ……?」
「わかりません……一体どこから聞こえたんでしょうか……?」
「ここだ、二人とも……!」

 言われて、杏子は、おそるおそるテーブルの上を見た。杏子が手に取ったお茶の湯のみの淵である。眼鏡をかけ、フェルト帽を被った親指ほどの大きさの初老の男性がバランスよく立っていたのが確認できた。
 ──小人や妖精にしては、その姿があまりに不審者然としており、敵か味方かもわからない不気味なオーラに満ちている。
 思わず、その出来事に絶句し、杏子は、まるで害虫にでも遭遇したかのように、思わず後ろの床に手をついてしまう。

「うわっ……なんだ、こいつ!!」

 男は、小さいながらもニヤリと嗤った。
 つぼみもその謎の男に気づいたらしく、その男に訊いた。

「な、なんですか……あなたは!?」
「私の名は鳴滝。全てのライダーと、そして、プリキュアの味方だ!」

 つぼみの問いに対して、その小人──鳴滝が答える。
 何故そんな姿をしているのか気になったのだが、他人の身体的な特徴を訊くのは良くないだろうと思い、口を噤んだ。もしかすると、そうした身体的特徴を持つ世界からやって来た人間なのかもしれない。
 それよりか、彼が何故ここにいるのか、どうしてこんな所に侵入できたのかの方が気になったが、これだけ小さい姿をしていれば気づかれずに目の前に来る事もできるだろう。──やはりそれも訊くに値しない質問だ。
 つぼみが色々考えていた矢先、杏子が先に訊いた。

「つまり、あんたもベリアルに敵対している人間の一人なのか……?」
「その通りだ! 奴はライダーたちの世界やプリキュアたちの世界をも破壊しようとしている! 私はそれを阻止する為、あらゆるヒーローたちの世界を旅している者だ……おのれベリアルゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!」

 鳴滝は、声高らかに叫んだ後、少しだけ間を置いた。自分自身で自らの発言を反芻して、考え直しているようだ。

「……」

 妙な余韻が残る。──その間、つぼみと杏子は目を丸くしていた。
 そして、鳴滝の方も結論が出たようで、もう一度言い直した。

「……いや、どうもしっくり来ないな。──今回は、お前は別に悪くないが……おのれディケイドォォォォォォォォォッ!!!!!!」

 八つ当たりのように大声で叫んだ鳴滝であったが、その一言はこれまでの情報を関連づける事ができた。そう、彼の叫んだ「ディケイド」という単語には、二人とも聞き覚えがある。
 このアースラに情報を提供している者の一人であり、左翔太郎の友人だ。本名は門矢士。まだ姿は現していない。
 もしかすると、翔太郎ならば、この鳴滝という男の事も知っているだろうか?
 現状では少なくとも鳴滝の話は聞いていないし、翔太郎もすぐに一人でどこかへ出かけてしまったので、ディケイドとの関係性というのはイマイチわからないのだが、──とにかく杏子は再度聞き直した。

「で、おっさん、何の用だよ……?」


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