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変身ロワイアルその6
591
:
BRIGHT STREAM(2)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:15:02 ID:RQpuUNRs0
『呼ぶ必要がない……と思ったんだろうな』
ザルバが口にしたのは、零と同じ結論であった。それしかありえなかった。
そして、呼ぶ必要がない状況──というのは、いくつか挙げられる。
暁が既に捕えられている場合。暁が死亡している場合。暁が主催側の協力者であった場合。……など、様々に存在する。しかし、見たところ、そのどれでもない。
少なくとも、殺し合いの最中では、暁が不審な行動を取った事はほとんどなかったし、良くも悪くも隠し事や裏表と無縁な人間だ。石堀と違い、算段などに似合わないのがよくわかる。
「……ッ」
暁には図星だったらしいが、口を開く様子は一切なかった。まるで頑固な子供のように固まり、そこから嘘の言葉で飾ろうと頭の中で屁理屈を組み立てているようだった。
そんな様子を見ていると、零の方が、溜息をついて折れてしまった。
これ以上、仲間内で悪い空気を作るのは良くないだろう。──二人ならば大丈夫だろうと思って、こうして待ち伏せていたのだが、結局、暁にはどうしても口にしたくない事があるらしい。
「まあいいよ。別に、今更あんたを疑ってるわけじゃない。でも、何か思い悩む事があったら、何でも俺たちに言えよ……って思ってさ」
こういう、普段お気楽な人間ほど、内心では深い陰我を抱えているという事もある。
周囲に気を使い、あくまで重い空気を作らずに振る舞う中で、実は溜めこまれた悲しみや怒りを抱えている事がないとも言いきれない。
少なくとも、それが邪気のある物ではない事くらいはわかっているつもりだ。
──だから、せめて、それを告げられる相談相手くらいは引き受けてやろうと思った。
すると、暁はようやく口を開いた。
「……じゃあ、俺の悩みを一つだけ」
深刻な顔で切りだした暁は、次の瞬間、普段通りのにやけ面で零に訊いた。
「艦長の八神はやてちゃんだっけ? あの子を落とすには、どういう──」
◆
高町ヴィヴィオとレイジングハートと響良牙が来ていたのは、アースラの内部にある訓練室であった。トレーニング機材が置いておらず、あくまで今は武道の為の道場のような内装の場所だ。良牙がその師範のように、神棚の前で多くの人間に向きあっている。
一番前で良牙に向き合っているのが、ヴィヴィオであった。ひときわ真剣な表情でヴィヴィオが良牙を見つめた。
良牙の方が委縮してしまいそうになるほどだった。
(まさか、こんなにいるなんてな……)
良牙の前にいる相手たちは、アースラのクルーの中でも、積極的に格闘技を習おうとする者たちだ。ヴィヴィオの友人であるリオ・ウェズリーやコロナ・ティミルほか、ストライクアーツを習う子供たちだけでなく、ザフィーラやノーヴェ・ナカジマなどのように彼女たちの師匠筋にあたる者も、興味深そうに良牙の武術を見てきたのである。
変身ロワイアルの映像の中で、魔力の適性がないにも関わらず、魔術に近い事をやってのける良牙の姿に呆気にとられた者も少なくなかったのだろう。
早乙女乱馬、明堂院いつき、沖一也……など、元々、あの殺し合いでは武道に携わる人間も多かったが、結局、そこから殺し合いの中で残って来たのは良牙とヴィヴィオだけだ。この世界の人間の中でも、武芸家たちが彼の戦法に興味を覚え、ヴィヴィオやはやての説得で、空いた時間に少しだけ教える事にさせられたのだ。
良牙は、決して乗り気ではなかった。良牙のそれは、独学で覚えてきた武道だからだ。彼らに教えるという事が少々難儀であるのはわかっていたし、こうして師匠のような扱いで講演するのも自分の柄ではない。何を教えて良いのやら、という気持ちだ。
しかし、ヴィヴィオが乱馬と長い間同行していた事を知っていた良牙も、良牙が乱馬の友人である事を知っていたヴィヴィオも、いつか互いに対して何か影響を与えたいとは思っていたのだろう。
そのチャンスが巡ってきた時であったので、良牙は躊躇いつつも、こうして三時間だけ「先生」をやってみる事にしたのだ。
「それじゃあ、良牙さん……お願いします!」
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