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変身ロワイアルその6
590
:
BRIGHT STREAM(2)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:14:40 ID:RQpuUNRs0
──昼飯を食べた後、各々は部屋に戻った。
それぞれの部屋が近いので、そこまでで別行動を取る者もなく、アースラの自室に入るまで適当に話しながら、歩いて行く。
広く設備の整った自室に、暁などは感激しており、逆に良牙は落ち着かなさを覚えている。そんな風に、それぞれ反応は違っていたのだが、その部屋をだんだん散らかし始めるくらいの時間が経って行こうとしていた。
ドウコクの部屋、外道シンケンレッドの部屋、蒼乃美希の部屋は未だに空室だ。
とはいえ、その内、二つは使われる機会がないだろう。──その二部屋のうち、ドウコクの部屋は、既にそれぞれが勝手に荷物置き場にしてしまっている。
今も、ドウコクの部屋に涼村暁は荷物を取りに行こうとしていた。
この場ではデイパック内の確認が成され、「危険物」(モロトフ火炎手榴弾など)、「変身道具」(ガイアメモリなど)、「クルーの所持品」(のろいうさぎなど)、「食糧・飲料水」を除いた、比較的危険性のない支給品が置かれている。
中には、誰かの遺品と呼ぶべき物もある。──誰の支給品か判然としていなかった物も、主催側の中継放送で表示されたデータで全て明かされ、どの支給品が誰の物だったのかはわかっていた。
しかし、暁は特に気にしていなかった。ゲーム機や玩具などもハズレで支給されていたので、それらに何か使い所がないか確認しに来たのである。
ほとんどの支給品は、室内に飾られるように並べられている。
──それを何となく、見ていた時、部屋の白壁に一人の男が凭れかかっているのを暁は確認した。
「うわっ、びっくりした!」
暁も不意に見つけたので、思わず声をあげて驚く。自分より先にこの部屋に入っていた人間がいたとは、まったく気づかなかったのである。
自分の部屋に戻ってからすぐにこの部屋に来た感覚だったので、暁も衝撃だ。
──そこにいたのは、涼邑零であった。
「──おい、暁。あんた、何か隠してないか」
零は、表情も変えず、暁の方を見もせず、開口一番にそう尋ねた。
先ほど、食堂でのヴィヴィオとのやり取りによって、暁に、どこか帰る事に対する陰のようなものが感じられたのを零も忘れてはいない。──あれが、何となく、零を暁に接触させようとしたのだった。
それだけではない。暁に関しては妙な事がもう一つあったのだが、これまで何となく、誰もそれについて触れる事がなかったのだ。
「何だよ、急に」
「……みんな言わないが、なんで主催は第二ラウンドでお前の名前だけ呼ばなかったんだ?」
まずは、主催者が「第二ラウンド」と称して参加者の追跡を行った際に、暁の事は一切触れなかった点だろう。「ターゲット」として呼ばれた生還者の名前の中に、生存者の中で唯一、暁の名だけがなかった。
主催側は何としても生存者を全員捕まえたかったはずだ。
孤門のようにあちらの宇宙で行方が知れなくなっている者はともかく、他の生存者同様、普通に生還していたはずの暁の名が呼ばれなかったのは、不自然極まりない事実である。
「呼び忘れたんだろ」
「そんなわけあるか」
「じゃあ、呼びたくなかったんだろ」
──暁が答えをはぐらかしているのは、零にもよくわかった。
しかし、はぐらかす中にもどこか後ろめたさのような物があるように感じられ、零も暁も少し顔色を険しくする。
呼び忘れるはずがない。世界を掌握するのが目的な中で、たった八人ほどの生還者を呼ぶのに呼び損じが出てくるはずはない。──相手も組織立って行動しているので、そんなミスに指摘が来ないはずもなかった。
呼びたくなかった、というのは更にその上を行く暴論だ。
二人がにらみ合っていると、そこに、零の指にはめられた魔導輪の声が聞こえた。
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