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変身ロワイアルその6
587
:
BRIGHT STREAM(1)
◆gry038wOvE
:2015/09/02(水) 18:11:44 ID:RQpuUNRs0
食べ残しにうるさい杏子も、ここ数日のクルーの食べ残しに対して、あまり咎める様子はなかった。多少、眉を顰めつつも、やはりつぼみには性格的にも悪気はないし、広い心で許すしかないだろう。
杏子は、つぼみが、普段、西隼人が配給するドーナツも快く受け取り、間食としていくつか──多少口に合わず、食欲がなくても、ちゃんと食べていた事を杏子は知っている。それも彼女の腹が膨れた原因の一つかもしれない。
「……まあ、仕方がないか。ここんとこ毎日、誰かしら少しは残すしな」
それに、先日のレイジングハートに比べればずっとマシだ。
杏子も──普段、菓子を口にしている事が多いとはいえ、極貧生活で縮こまった胃は、時に易々と限界に達する事があった。残すしかない気持ちはわかる。
時にストレスが、食事を拒絶する事もやむを得ない話だ。
「──ん? つぼみ、それ残すのか?」
と、そんな時に、丁度、良牙がカレーの皿を返却して帰って来た。手ぶらで自分の席に戻って来ようとする時、丁度、つぼみがスプーンを置き、杏子が何か言っているのが良牙の目に見えたのだろう。
見れば、オムライスがまだ結構残っていたので、それを気にしてみせたわけだ。
つぼみは、そんな良牙の顔を一度見てから、少し視線を下げて、答えた。
「え、ええ……勿体ないですけど。口をつけちゃいましたし」
「……いいよ、そんくらい食ってやる。俺も、元々カレーかオムライスかで迷ってたからな。まあ、ちょっと口をつけてたくらいはどうってことないだろ」
「そ、そうですか!? じゃあ、すみません! ……お願いします」
すると、良牙がつぼみの皿とスプーンを横取りして、そのままつぼみの食べ残しのオムライスに舌舐めずりした。
良牙も食べようと思えばいくらでも口に入れられる元気の持ち主だ。元々、あかねの料理など、良牙の人生には食を強要される場面も多く、胃が常人の比ではないほど鍛えられていた。──脳天に突き刺さるほど不味い飯ですら完食できるほどだ。
それに比べてみれば、ここの食堂の飯は並より上。いくらでも入る。
つぼみの食べかけのオムライスに、つぼみが使っていたスプーンを入れ、良牙もまずは最初の一口分を掬いだすと、それを口に入れようとした。
「間接キッス……」
「……だな」
翔太郎と暁が、そんな様子を、至近距離からじーっと見ていた。二人は、良牙の顔の近くまで顔を接近させていく。
それどころか、零や杏子やレイジングハートまでも、良牙がオムライスを食べ始めるのを間近で見ようと、顔を近づけていた。
その妙な威圧感で、良牙はスプーンを止める。良牙の顔には汗が滲んでいた。
「……」
刹那、「ばっこん!」と音が鳴る──。
「──食いづらいだろぉが!!」
良牙が頭に怒りのマークを浮かばせながら、翔太郎と暁をアッパーで吹っ飛ばしたのだ。「ちゅどーん」という音と共に、両手十指の中指と薬指だけを折った翔太郎と暁が空の彼方(※すぐ上が天井)に吹っ飛んでいった。
杏子とレイジングハートは元の性別的にも女なので殴らず、零は実力差ゆえに殴らずおいた。──そもそも、良牙がこの時、突発的な怒りを覚えたのは翔太郎と暁だけだ。
「まったく……」
「あはは……」
良牙は、何となく少しだけつぼみの方を一瞥した。彼女は、別段恥ずかしがる事もなかったが、多少は照れたように笑って誤魔化していた。
それで、良牙はあまり気にせずに、オムライスを口に入れ始める事にした。自分の態度を考え直すと、良牙の方も少し照れて視線を逸らしたかもしれない。
もしかすると、つんとした態度と受け取られ、気を悪くしてしまっただろうか……少し、良牙もそれを気にした。
──オムライスの味は、卵が美味しいと聞いていたが、冷めてきたせいか、普通の味であるように感じた。だが、不味くはない。
翔太郎と暁が「いててて……」などと言いながら起き上がり、先ほど呆気にとられていた者たちも安心し始め、僅かばかりの静寂があった。
二人とも、やたらと頑丈である。──良牙も別に本気で殴ったわけではないのだろう。
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