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変身ロワイアルその6
577
:
◆gry038wOvE
:2015/08/11(火) 00:57:56 ID:yQqdBdkE0
意味もない心よりの叫びが、思わず彼の口から漏れ出してしまった。
そうして誰もいない一室に響かせる声は、崩れかかっているこの一室と、それに伴って壊れかけていくこの地下基地の全てに呑まれかけていた。
この程度の材質では、ユートピアの力に耐えきれなくなったのだろう。
だが、──その崩壊が、次の瞬間、一斉に止まる。
「……ッ」
彼が、その片腕に握った“理想郷の杖”を振るった時であった──。
まるで崩れかけていた周囲の物体の全てが時を止めたかのように、重力にさえ逆らって空中で静止する。
そして、それらは、ユートピアの変身前にあった位置に、念動力のようにゆっくりと戻っていった。
──これもまた、彼の今の力。
破壊された理想郷を、“治す”力。崩壊が収まり、静かになった所、中央でユートピアが佇んでいた。
「──ハハッ」
ユートピアメモリは、ベリアルから授かった力によって更に強いエネルギーのコーティングをされた。
それに伴い、ユートピア・ドーパントもまた、“これまで以上”の超強化態となる。
エターナルレクイエムへの耐性もあり、当面の敵を撃退するには充分なエネルギーを蓄えている。──もはや、エターナル程度は敵ではない。
「ハハハハッ……」
ガイアプログレッサーさえも超えるベリアルウィルスの力により、昏く、重く、ただ深く、ユートピアの姿は超進化していた。
今の彼は、元の世界に帰れば、単身、地球規模のガイアインパクトを発動する事ができる力さえも持っている。
──だが、はっきり言って、もうそちらの目的の事はどうでも良い。
元々、あれも冴子との理想郷を望む心が齎した結果だ。結局、一人きりの理想郷という所であったが──これから出来る場所は違う。
「ハッハッハッハッハッハッ……!!!!」
ユートピアは嗤う。
今は、笑顔を試すわけでもなく、ただ、腹の底から湧きあがってくるいいようのない可笑しさを自らの中で讃えていた。
高らかな笑みが木霊する。
「──……さて、最早こんなところに隠れる必要はありませんね」
加頭が理想郷の杖を再び振るった時であった。
地下に隠されていたこの基地が、重力に逆らい、轟音と共に、突如せりあがり始めた。
────猛烈な地鳴り。
何百人という人間が収納されていた超大規模な蟻の巣のような基地の外から、土が溢れだし、崩壊したレーテが土の中へと埋もれ、隠れていく。
それと同時に、彼らを包んでいた、F-5の一つの山が消え、その山肌にあった物──遺体や捨てられた支給品の全てが土の中へと消えていった。
そして、地上に出た、ベリアルの体長ほどの巨大な“手”の形の要塞──それが、彼らが巣食っていた地下秘密基地の正体であった。
帝都要塞地下秘密基地 プチ・マレブランデス──かつてカイザーベリアルが居城とした惑星ほどの巨大宇宙要塞を縮小化し、内部を大幅に改造した物であった。
意匠だけがかつてのマレブランダスと同様であるが、この殺し合いに際して内部の七割が改装され、もう殆ど別物といって良い状態になっている。
「……ここで待ちましょう。全てが終わる時と、また、私たち二人が全てを始める時を……ゆっくりと」
不落の要塞に残された加頭は、そう呟いた。
まずは、この要塞でアースラから落として見せる──。
◆
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