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変身ロワイアルその6

562永遠のともだち ◆gry038wOvE:2015/08/09(日) 01:12:46 ID:yTeAA/4M0

 自らの意思ではゼロの身体を動かせないため、少しばかり退屈だったが、美希はゼロに語りかけようとしてみた。実際、考え事まではゼロには知られず、語りかけようとした時だけゼロに言葉が届くようになっているらしい。
 お陰で、少し考え事をさせてもらっていた。──そして、ある結論が出たのだ。

『ゼロは、私の目は未来を見つめている……そう言ったけど、それってとても怖い事だとあの時、思ったわ』

 未来を見つめる──そんな言葉を聞いた時、自分の胸が苦しくなったのを、美希は思い出していた。あの時は、奇妙な恐怖さえ抱いたのだ。
 その理由は、時間を重ねて考える内に何となくわかり始めていた。

『ラブやブッキーやせつなを忘れて、彼女たちがいないこれからの人生を一人で生きていく事だと思ってたから……』

 そう、未来を見つめるという事は、過去を遠ざけて生きていくという事だった。
 既になくしてしまった物は戻らない。時間はどうあっても未来に向けて収束してしまう。──だが、それが美希には嫌だった。
 桃園ラブも、山吹祈里も、東せつなももうこの世にはいない。だからこそ、自分が未来を見つめていると聞いた時、彼女たちの存在を裏切ってしまったようで、胸が締め付けられたのだ。
 天道あかねも、きっとそうして早乙女乱馬を忘れたくなかったからこそ、闇に堕ちる道を選んだのだろう。──いや、きっと、そうして美しい過去の為に全てを犠牲にして必死に生きた人間は、彼女だけではなかっただろう。

『──でも、違うわよね? 彼女たちを自分の一部にして、それで、彼女たちの死を自然に受け入れて、自分の罪も忘れずに生きていく事が……あなたの言う、私が見ている未来なのよね?』
「ああ、わかってるじゃねえか……」

 彼女たちの死を背負い、その想いをまだ胸に秘め続け、四つの葉を持つクローバーとして、美希たちの未来を切り開いていく事──それこそが、これからの美希の運命になる。過去の全てを受け入れながら、前に生きていけるか? ──それがゼロの言う未来だった。
 それを飲み込んだ美希を見て、ゼロは、ただ一言、告げた。

「あいつらは、お前の永遠のともだちだ……!」

 その一言を聞いた時、美希の心にあったしこりが消えていく感じがした。
 妙な安心感を抱いて、それからすぐに、心の中で笑顔を作った。戦いの前とは思えないほど、緊張とは無縁な安らかな気持ちが美希の芯に湧きあがってくる。
 一言だけ、ゼロに礼を言う。

『ありがとう、安心した……』

 そんな時、ふと、ゼロの視界で前方を埋め尽くす大量の怪獣の陰が表れ始めた。
 宇宙竜ナース、火山怪鳥バードン、始祖怪鳥テロチルス──ゼロには見覚えのある敵も何体かいる。

「……おっと、話してる間に、俺たちを邪魔しようとする奴らが来たようだぜ! 美希! ベリアルと戦う前の小手調べだ……」
『……そうね。ゼロとの相性も今のままじゃわからないし……試してみる?』

 ゼロは、唇を親指でなぞるようなしぐさを見せた後──すぐに美希の問いに返した。

「フッ、知れた事だぜ。俺たちの邪魔をしようなんざ、2万年早いぜ! ベリアル帝国!」

 美希も心の中で頷いた。
 目の前の百を超える怪獣軍団を倒し尽くせば、その後でベリアルの世界に向かえる。
 そして、ノアを──孤門を助け出すのだ。



『そうね……行くわよ、ゼロ! 完璧に倒してあげましょう!』




【蒼乃美希@フレッシュプリキュア! GAME Re;START】
【Andウルトラマンゼロ@ウルトラシリーズ GAME START】


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