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変身ロワイアルその6
561
:
永遠のともだち
◆gry038wOvE
:2015/08/09(日) 01:12:30 ID:yTeAA/4M0
ビクトリーが背負っているガンQはすっかり伸びている。
彼は、逃走中にギンガスパークという重要なアイテムを奪っていたらしいが、とにかくガンQの問題もこれで片付いたわけだ。
すぐ後に、青いウルトラマン──ウルトラマンヒカリがやって来る。
「──メビウス。この星には、どうやら地球人が他にいる様子はない」
「つまり、赤い靴の少女に連れて来られたのは、美希ちゃんだけっていう事か」
他の生還者がどこにいるのかわからず、美希は少し不安になった。
杏子、つぼみ、翔太郎、良牙、零、暁、ドウコク、レイジングハート……。
だが、彼らもきっと無事でやっているだろう。──今は、ただ、そう信じた。
「とにかく、これで、ひとまずは、条件は揃ったわけだ。──だが」
タロウは、ギンガスパークを美希の手に託しながら、言った。
「美希、ゼロ……二人に言っておくが、あの世界の宇宙もここと同じように広大だ。スパークドールズを見つけ出すのは本当に困難かもしれない。それでも行くのか?」
それは、最後の忠告だった。既に覚悟のある二人にも、一応この先の険しさを実感しているか確認しておきたかったのだろう。
だが、そんな保険は結局のところ、不要な物だったらしい。
ゼロと美希が口を開く。
「あの途方もない宇宙を見つけ出さなきゃならないってか……? やれやれ、本当に──俺を燃えさせるのが得意な奴だぜ! ベリアルの野郎はよぉっ!!」
「私たちは、希望を諦めませんから……!!」
熱血漢のゼロと、希望の美希だ。──それぞれの胸には、孤門一輝の「諦めるな!」という言葉が刻み込まれている。ゼロは、あるアナザースペースを旅した時も、そんな言葉を何度も口にする少年と出会った事があった。
ゆえに、可能性があるならば、それを無碍にする事はしない性格であった。
そして、ウルトラマンノアという小さな希望──それは、決してベリアルを倒す為だけではない。
(孤門さんを、今度は私が探し出す──!!)
かつて、レーテの深い闇の海の中から救い出された時の孤門が同じ事をしたのだから、美希も同じ事を返すつもりなのであった。
ノアの中に封じられている孤門一輝という人間も解放する為に──美希は、ゼロに向き直した。
「行きましょう、ウルトラマンゼロ!!」
ゼロが、おもむろに頷いた。
すると、ウルトラの母が、左腕の青いブレスレットのエネルギーを右腕に宿し、美希とゼロに向けてその光線を放った。
マザー光線。──それは、傷ついた戦士を治癒する聖母の力だった。二人の身体から、今日までの疲れと傷が拭われていく。
二人は、母の愛に礼をした。
やがて、二人はウルトラマンゼロとして融合し、このウルトラの星を離れ、ベリアルの元に向かう事になった。
◆
────あのウルトラの星を離れ、どこまでも深く真っ暗な宇宙を、ウルトラマンゼロは飛んでいた。
ゼロになっても美希の人格は消えておらず、飛びながらいつものように会話する事ができる。まるで、あの戦いの中で出会った仮面ライダーダブル──左翔太郎とフィリップのようであった。
ただ、今はあくまで戦闘慣れしているゼロの人格を主体とする形になっている。言ってみれば、この場合、美希が「フィリップ」と同じ役割なわけだ。
『ゼロ……一つだけ訊いていい?』
「何だ、美希」
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