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変身ロワイアルその6

560永遠のともだち ◆gry038wOvE:2015/08/09(日) 01:11:44 ID:yTeAA/4M0

 ゼロの言葉は、美希の心を突いてきた。
 真っ直ぐに信じられたり、褒められたりして、嬉しくない人間はいない。──特に、自分自身が信じられない人間にとっては、だ。
 彼らのやり取りを見ていたウルトラセブンが、のそのそと彼らの元に歩きだした。他人事だとは思えなかったのだろう。

「蒼乃美希、それにゼロ……人は、時に過ちを犯す。だが、我々はそれも含めて、地球人を愛しているんだ。この星の人にだって、犯罪がなくとも過ちや後悔がないわけではない。──ベリアルの過ちを正せるのは、それをよく知る、若き君たちだけだ」

 ここに並ぶセブンも──これまで、決して人間の良い部分ばかり見てきたわけではない。
 だが、そんな彼は未だに地球人を信じ、愛している。あの美しい星の人々に、再び災禍が訪れないよう、何度でも命を削る覚悟がセブンには──あるいは、地球人、モロボシ・ダンにはあるのだ。
 だからこそ、蒼乃美希という地球人を信じ、託そうという気持ちはここに居る誰よりも負けないつもりであった。
 勿論、ウルトラマン──ハヤタも、ウルトラマンジャック──郷秀樹も、ウルトラマンエース──北斗星司も、ウルトラマンメビウス──ヒビノ・ミライも、東光太郎や礼堂ヒカルと共に戦ったウルトラマンタロウも、ゾフィーも父も母も同じ想いを胸に抱いている。
 彼らは、セブンの言葉にただ頷いた。

「本当に、良いの……?」
「ああ、大丈夫だ。──お前の目は、もう未来を見つめている。だから、安心しろ!」

 美希を、何故かその時、言い知れぬ恐怖感が襲った。
 ゼロの言葉のどこかが、彼女の胸を締め付けたのだ。──それは、ほとんど反射的な感覚だった。胸から上で呼吸が乱れ、動悸が激しくなり、途端に吐き気も少し湧き出た。
 しかし、それを抑え、──必死で飲み込み、服の胸元を握り、美希は頷いた。

「……わかったわ、ゼロ。──合体しましょう!」
「おう、望むところだ!」

 ゼロが、美希を持たない方の拳を強く握った。
 彼は、美希がいま何かを感じた事など知る由もなかった。美希自身も、今は原因がわからず、すぐにそんな事は忘れかける。

「……っつっても、今まで、合体するのは男ばっかりだったから、緊張すると言うか何というか……」

 またしても頭を掻くゼロ。──何にせよ、女性型地球人と一体化するのは少々恥ずかしい気持ちがあるのだろう。
 彼の父たるセブンも少し咳払いをして、タロウやメビウスは少し顔を赤らめている。
 変な意味ではないのだが、やはりこうして他の同種の目があるところで、ウルトラ戦士が地球人と合体するのは恥ずかしくもあったのだろう。
 こうして改まると、美希の方も急にゼロを心に宿すのが恥ずかしくなってくる。

「照れる事はないぞ、ゼロ」

 そんな中、ウルトラマンエースが妙に実感のこもった言葉で言う。
 彼には何やら経験があるようだった。──というか、彼に限っては全く恥じる気持ちは全くなさそうにさえ感じる。

 と、その時だった。
 プラズマスパークタワーに向かって、二人のウルトラマンが飛んでくるのが見えた。
 片方は、背中にあの奇獣ガンQを背負ってきている。ウルトラ戦士たちは、一斉に彼らの方に目をやる。

「──おーい、タロウ! 頼まれてたギンガスパーク、持ってきたぜ!」
「ギンガ……それにビクトリー。来てくれたのか!」

 何やら、そのウルトラ戦士たちはウルトラマンタロウと旧知の仲らしかった。
 タロウが地球に向けてウルトラサインを発し、ウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーという二人の戦士を呼び出したのだ。それは、スパークドールズと化したウルトラマンノアを再臨させる為の道具を手元に確保しておく為である。
 美希という手段はその時はまだなかったのだが、何らかの方法で向こうの世界への耐性がついたり、迎える条件がついた時の為にそれを手にしておこうと思っていたのだ。

「……ああ、後はこいつがあれば、スパークドールズになったウルトラマンノアをまた復活させる事ができるんだろ」
「こいつが持ち逃げしていたせいで、少し遅れたがな……」


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