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変身ロワイアルその6

558永遠のともだち ◆gry038wOvE:2015/08/09(日) 01:11:05 ID:yTeAA/4M0
 まるで、この善人ばかりの惑星の中で、ただ一人だけ、善も悪も持つ普通の人間が放り込まれてしまったような話である。──地球の人間である美希は、だからこそ、悪ばかりが肥大化し、強さに魅入られるようになったのかもしれないと思った。
 善と悪が両立されるのが普通の人間だが、周囲が奇妙なほど優等生ばかりになると、そんな不良生徒も出てくるわけだ。その次元が異なっていたというだけで、本質は変わらない。
 そんなベリアルは、その後、ギガバトルナイザーを手にして怪獣と協力し、この星でもまた「ベリアルの乱」なる物を起こしたという。それ以来、何度も蘇り、新たな力を得てウルトラマンゼロやウルトラ戦士たちの前に何度も立ちふさがる巨悪となっていったのだ。

「──今、奴が新たに手にしたのが、インフィニティのメモリだ」

 ウルトラ兄弟たちの説明に、ふと、美希は自分の知っている単語が出てきた為、我に返るようにして、話に食らいついた。

「もしかして……それって!!」
「ああ。君たちの世界をかつて管理しようとしたラビリンスの──」
「シフォン……!」

 インフィニティのメモリ──それは即ち、シフォンという赤子の妖精の事だった。
 世界を管理する為の道具として管理国家ラビリンスにより利用され、己の意思に反して協力させられていたのがシフォンだ。
 しかし、たとえ世界を闇に導くリスクのある存在だとしても、美希からすればシフォンは我が子も同然の仲間である。
 かつて、美希はそんなシフォンを世界の管理者メビウスの手から助け出したのだが、美希たちと同じくベリアルに捕らわれてしまったらしい。
 今、美希たちプリキュアたちのいる世界とベリアルの話が一本の線で繋がって来た。

「シフォンが、ベリアルの手に渡ったんですか……!?」
「ああ。あの戦いも、君たちの戦いを見る人間たちから溢れる膨大なFUKOと、君たちの持つ変身エネルギーを貯蓄し、全世界を自らの手で掌握する為に開かれたようだ」
「──そんな事の為に……っ!!」

 美希は湧き立つ怒りを抑えきれなかった。
 目的の為に、ラブや祈里やせつなを殺害し、挙句にシフォンまで利用するという──このベリアルの卑劣さ。その目的が、自らを満足させる為に全世界を手に入れる事だというのなら、余計に美希には許し難かった。
 まだ、統制によって平和を謀ろうとしたメビウスの方が理念はマシだと言える。

「ベリアルは何処にいるの……!?」

 美希は、今までよりも少し怒張の混じった声で言った。
 それを聞いたウルトラ戦士たちは、少しだけ押し黙った後、どこか無念そうに言葉を返した。

「ベリアルは、バトルロワイアルが行われたあの世界にいまだ閉じこもっているんだ」
「そこに介入できるのは、一度あの世界に行って耐性がある人間──つまり、君たち生還者だけだ」
「……私たちだけでも、そして、今は君だけでも、ベリアルのいる場所に向かう事はできないだろう」

 あのカイザーベリアルという強敵を倒す為に、力を持つ自分たちが美希に力添えする事が出来ないのが惜しいのだろう。
 しかし、美希もまた、ただの人間である以上、一人で異世界に向かう事など出来ない。
 異次元突破ができるウルトラ戦士は、耐性を持たない為にベリアルの元に行けず、耐性を持つ美希は、異次元を突破できないというわけだ。アカルンさえあれば話は別だが、それも今は杏子の手にある。

「──しかし、こうして集った以上、ただ一つだけ方法はある」

 ふと、ウルトラの父が口を開いた。
 方法を何となく悟っていたウルトラ戦士と、方法を思いつかないままだったウルトラ戦士とがいたようだが、そんな中で、彼は殆ど確信に近い方法を思案していたようだ。

「君とゼロと一時的に同化し、二人の力を合わせて次元の壁を突破するんだ」

 同化──それは即ち、ウルトラマンネクサスと同じ要領で、美希の身体がウルトラマンゼロに変身できるようになるという事だろうか。
 美希の中にも、かつて、同じようにウルトラマンがいた。
 しかし、杏子から受け継いだネクサスの光は、決して良い思い出ばかりを想起させる物ではない。むしろ、美希の中にあるのは不安ばかりだ。
 まるで強要されているような気がしたが、美希は何も返せなかった。


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