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変身ロワイアルその6

557永遠のともだち ◆gry038wOvE:2015/08/09(日) 01:10:49 ID:yTeAA/4M0
 彼の胸や肩には幾つものボタンのような勲章が輝いている。

「──君に話さなければならない事は幾つもあるが、まずは君が落ち着いてからにしよう。大した持て成しは出来ないが、君は責任を持って我々が保護する」
「ありがとうございます。でも、話を聞く事は出来ます。……お願いします、ゾフィー隊長」
「……いいのかね?」
「ええ、聞かせてください」
「……君がそういうのなら。──まずは、あのウルトラマンノアとダークザギについてだ」

 ゾフィーの気遣いは、美希には不要だった。
 実際、周囲が配慮しているよりも、美希はまだ落ち着いた心情にある。ここにいるウルトラ戦士たちの不思議な暖かさが成してくれる物だろう。
 変に話を後回しにするよりは、こうして早い内に美希の中にある疑問を払拭しておいた方が良い。

「ノアは、かつて、あのダークザギが現れた時、我々ウルトラ兄弟を救った戦士だ。我々の力を集めても、手に負えなかったあのダークザギを異世界に連れ出してくれた事がある。二人の正体は我々にもわからないが、ノアは大昔から存在し、あらゆる宇宙に伝説を遺した巨人だ」
「──彼らに会った事があるんですか?」
「羽根が生えたウルトラマンなら、俺も前に会った事があるぜ! 俺に良いモンくれたんだ。……でも、まさか、あんな所に連れて行かれてたなんてな」

 ゼロが付け加えた。しかし、ゾフィーと比較すると、ゼロの説明では、どうもノアの偉大さという物が伝わり難い。
 彼にしてみれば、物をくれる優しいおじさん扱いで、他のウルトラ戦士のようなノア崇拝とは無縁だった。──相変わらずなゼロの態度に少し呆れる。

 だが、考えてみると、ノアといえば、一つ疑問がある。

「そうだ、孤門さんは……? 今どうしてるんですか?」

 ウルトラマンノアに変身したのは孤門一輝だ。ブルンたち妖精のように、エボルトラスターにノアが同化していた原理はわかるが、あの戦いの後、孤門はどうしたのだろう。
 こうして、まだ主催者が残って世界を侵略しているという事は、ノアはベリアルに敗れてしまったのだろうか──?
 ウルトラマンノアが個としての人格を有しているとしても、美希にとっては孤門一輝という人間の変身体であるという印象が強く、そういう訊き方をした。
 そう言うと、ウルトラの父と母の実子であるウルトラマンタロウが口を開いた。

「……あの後、ベリアルの力でエネルギーを全てスパークドールズという人形に封印されてしまったんだ。その人形は宇宙に捨て去られた!」
「そんな……」

 そう落ち込む仕草を見せた美希に対して、ウルトラの父が口を開いた。

「だが、安心してくれ。死んではいない。おそらく、ベリアルには、ノアを無力化し、宇宙に捨てる事しかできなかった……ベリアルはそれだけノアを恐れているという事だ」

 ウルトラマンベリアルという名であった頃のカイザーベリアルとは戦友同士だったという彼も──今や、ベリアルに仇なす一人として名を連ねている。彼の中では、友の過ちを止められなかった己の罪深さを悔いる事よりも、一刻も早くベリアルを対処せねばならないという使命感が優先されているのだ。

「つまり、あの宇宙に行き、ノアを……孤門隊員を探す事が勝利の鍵になる」

 ノア──孤門はまだ生きているという事であった。
 それだけで少しでも希望が湧いて来る気がした。──いや、むしろ、ベリアルが絶対的強大さを持っていたこれまでに比べると、彼の弱点とも言えるノアの存在が明かされた今は心強ささえ覚える。

「言ってみれば、ベリアルもまた、心の闇を付け込まれた一人の人間に過ぎない。このプラズマスパークタワーのエネルギーに魅入られた、ウルトラ一族でただ一人だけの犯罪者だ」
「だが、奴はギガバトルナイザーやエメラル鉱石、アーマードダークネスなどの新しい力を見つけ出し、やがて我々だけの力では手に負えないような強大な悪になっていった」

 ここまでの道のりでゼロに聞いた通りだった。

 かつて、この星のウルトラ戦士の一人だったウルトラマンベリアルは、エンペラ星人の悪の力に惹かれ、プラズマスパークタワーを襲撃してエネルギーを奪取しようと謀った。しかし、それを阻止された彼は宇宙の牢獄に監禁され、ウルトラ族唯一の犯罪者として、この星の負の歴史となったのだ。


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