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変身ロワイアルその6
554
:
永遠のともだち
◆gry038wOvE
:2015/08/09(日) 01:08:46 ID:yTeAA/4M0
「さあ、この手に」
「手……? ああ」
ゼロは右手を差し出し、美希は彼の指先にそっと乗っかった。
彼が攻撃したり握りつぶしたりする気配はなく、美希は、それでひとまず安堵するが、直後にゼロが腕を上げて、美希を自分の胸元のあたりまで持ち上げた時、美希の背筋が凍った。
「ちょ……ちょっと!」
「ん? なんだ?」
「高い、ここ高いっ!!」
だいたいゼロの胸元のあたりと言うと、高度三十メートルほどである。
何らかの補助手段もなく、ただ掌の上にちょこんと載っているだけでは、かなり肝が冷えるほどの高さだ。──しかし、ゼロにはそれくらいしか美希を運ぶ手段はないのだった。
乱雑なように見えるが、ウルトラ戦士が地球人と一緒に移動する時はそれが一番手っ取り早い話で、ゼロも別段、その方法に抵抗を示してはいない。
それに、中には喜んでくれる地球人も多いくらいだった。
「安心しろよっ! ……絶対落ちないから」
「保証あるのっ!?」
「俺を信じろ!」
「無理よ、会ったばっかりだもん!」
「ったく……こんな事で死なせねえよ! お前だって、ウルトラマンと一緒に戦ってきた地球人の仲間だ──行くぜ!!」
「あああああ!! ちょっとおおおおおっ!!! 心の準備!!!!」
ゼロは、そのまま美希の意見を無視して、空に高く飛び上がる。美希は頭がくらっとするのを感じた。
だんだんと離れて行く地上──そこから落ちれば、一たまりもない状況。
しかし、ゼロは、美希をそこから落とさないよう、少し掌の中心を下げて持っているのがわかった。精一杯の配慮だが、確かにそこから地上が離れたとは思えないほど、風の抵抗を受けない形になっている。
美希の視界には、空から見上げたこの星の全貌が映し出され始めていた。本当に全てがエメラルド色とクリスタル色の光で包まれている街であった。
──宇宙の神秘を体現したような美しい場所だ。
「──あれは!」
そして、先ほどまで見えていなかった巨大なタワーが見え始めた。あまりに美しい光景に、美希も怖さを忘れてそれに圧倒される。
それは、この星を築き上げたエネルギーの塊──プラズマスパークタワーであった。
人の心を魅了する輝きが、この街全体を灯しているのだ。この星にある人工太陽があのプラズマスパークタワーなのである。
ゼロは、ゆっくりと飛行しながらそこへ向かっているように思えた。
◆
美希がゼロに連れて来られた場所は、まさにそのプラズマスパークタワーの前であった。
このウルトラの星においても、最も厳重な管理が置かれる場であり、その周囲は歴戦の勇士たちが囲っている。宇宙警備隊に属する彼らが厳重な包囲をした上で、この場に現れたベリアル傘下の怪獣たちと戦う事になったらしい。
とはいえ、約一週間の時間をかけてウルトラ戦士の方が怪獣軍団を鎮圧し、多くを葬り、多くを捕えた。──死亡した怪獣は、怪獣墓場を彷徨い、供養される事になるだろうという。
ベリアルに最も近い参謀のメフィラス星人・魔導のスライといった強敵もウルティメイトフォースゼロの奮戦によって撃退する事が出来たらしい。
美希は、辿り着くまでに、彼の手の上で、そんな幾つかの話を聞いた。
「着いたぜ、美希」
「──え、ええ……」
到着した頃に、美希とゼロの前に、何人もの戦士が空からこのタワーの前に立ちふさがるようにして並んだ。まるでゼロを待っていたようだった。
赤と銀の体色を持つウルトラ戦士たちが、それぞれ背中にかけた巨大な赤いマントを翻す。
ゴーストタウンのようだと思えば、このように何人もの巨人が集まっているなど、不思議な星である。
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