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変身ロワイアルその6

549永遠のともだち ◆gry038wOvE:2015/08/09(日) 01:06:30 ID:yTeAA/4M0



 ────お願い、世界を救って



 ────全ての世界が侵略者に狙われている



 ────急いで



 ────ウルトラマンたちと共に、侵略者を倒して!







「イヤ〜〜〜〜〜!!!!」

 あの殺し合い──変身ロワイアルを終えた蒼乃美希は、今度は全く見ず知らずの場所で、体長50メートル以上の怪獣に追われていた。
 どうして怪獣に追われているのかは当人の胸に訊いても定かではない。
 今はただ、美希は腕を振り、足を動かして前に進むだけだ。問題は、どう頑張ったところでも、美希の人並の歩幅での精一杯の走りは、規格外の巨大さを誇る怪獣の歩みに距離を縮められているという事である。

「何なのよ、もう〜〜〜!!!」

 思わず空に叫ぶが、彼女の魂の訴えを聞いてくれる者はいない。
 周囲は人っ子一人いないゴーストタウンだ。──いや、それはそもそも、「タウン」と呼ぶには、美希の持つ常識と大きく外れすぎているかもしれない。
 いきなり怪獣に見つかり追われ、何かを考える間もなく必死で逃げている物で、自分が帰って来た場所については、あくまで一瞬の印象と考察しか持っていないのだが、ひとまず、その時に美希が抱いたこの場に関する情報を思い返し、情報を纏めてみよう。

 そもそも此処が、美希が帰るべき場所ではないという事は、辿り着いたその瞬間から彼女の本能が告げていた。
 ──おそらくは、“美希が帰るべき「星」ではない”か、“美希が帰るべき「世界」ではない”。あるいは、その両方であると思えた。生存条件があった事が奇跡的なくらいだろう。

 周囲を見渡す限り、全てが光の建造物で埋め尽くされ、街全体がエメラルドやクリスタルの宝石で出来ているかのような土地だった。これがまず異常だった。アスファルトやコンクリート、アルミのように美希たちの生活する星に当たり前に存在している材質はなく、そうではない何かで構成されている。──まさに光り物だけで作られた女の夢のような都市だ。
 ただ、それらは、「建造物」といっても、それは美希の──いや、一般水準の人間の身長たちと比べても、明らかに合わないサイズなのである。
 はっきり言って、規格外だ。大きくともたかだか身長2メートル程度の人間では、一つ完成させるのに天文学的な時間と手間をかけるような──それこそ、見上げても果てのないほどの大きな建物たちが並んでいた。
 まるで、あのウルトラマンノアやダークザギと同じくらいの体格の巨人に生活条件に合致するかのような──いや、そうとしか思えない街なのである。美希たちと同じ等身の人間がこんな物を作ったって意味はない。

 ここは、ナスカの巨大な地上絵を落書きできるような生物が住まう場所ではないか──?
 迷い込んでしまった場所で、最初は自分が小さくなったのかとも思ったが、そもそもこれだけ周囲の光景が地球と違ってしまっていれば、そんな誤解さえも起きない。自分とは規格の違う別の場所に誘われてしまったようだとしか思えなかった。



 ──そう、美希は知らないが、彼女がブラックホールによって転送された場所は、銀河系から遥か300万光年離れたM78星雲に位置する、ウルトラの星なのである。


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