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変身ロワイアルその6

543時代 ◆gry038wOvE:2015/08/02(日) 11:37:00 ID:cMWgAZpE0

 その名はアースラ。レイジングハートたちの言っていた時空管理局の船だ。
 何をしに来たのかと思えば、丁度零の悩んでいた「異世界の渡航」への手伝いらしい。
 そういうわけで、零はそそくさと準備を済ませて、その世界へ向かう事にした。
 未来から来た鋼牙の息子の思念というのも凄い話だが、今度は超科学の産物である。いちいち突っ込むのも億劫になり、ザルバも「もう何も言う気はないぜ」と言っている。

「あの……雷牙くんは?」

 零にそう訊いたのは、カオルだった。
 見れば、彼女の手には、真っ白な画用紙が握られている。──おそらくは、それは雷牙がゴンザを簡単に描く時に使った画用紙だ。
 だが、そこには、もう雷牙の痕跡は残っていない。
 彼がこの世界で遺したのは、漠然とした記憶と、その魂のみだ。それを知らないカオルは、その画用紙に厭な予感を覚えたのだろう。

「──ああ、先に未来に帰っちまった。母さんにお別れが言えなくて、残念だってさ」

 カオルも、雷牙の母だ。こうして雷牙が目の前から姿を消してしまった事が、余程心配なのだろう。
 しかし、そんなカオルを安心させる為、零はにこやかな笑顔で言った。
 まさか、消えたなどと言えない。──それに、今は消えたとしても、零は必ず、もう一度雷牙と会おうという意志を確かに持っていた。

「大丈夫。いつか、未来で会えるよ。だって、あいつは鋼牙とカオルちゃんの子だからな」

 そう言われて、カオルは少し悩んだが……また、笑顔でウンと頷いた。
 それを見て誰より安心したのは、零である。彼は、その手の指輪に向けて告げる。

「──じゃあ、行こうか、ザルバ」

 今はまだ、零の相棒として魔導輪をやっていてもらう。
 シルヴァが修復させるまでだ。──そう、ほんのそれまで。
 この最後の戦いでも、大河、鋼牙、雷牙の三世代に渡る冴島家の忘れ形見として、共に戦わせてもらおうと思う。
 きっと、この指輪がどこかで覚えているはずの「黄金騎士」たちの魂は、きっと何度でも零の背中を追うだろう。

(……またあの場に行くのか……それに、あいつらとまた会う事になる)

 零は、それから、レイジングハートやあそこで出来た仲間たちの事も、ふと考えてみた。──もう零は孤独ではないが、レイジングハートは、ダークアクセルとの戦闘前に話したあの事は、考えてくれただろうか。
 いや、そんな事を今考えている場合ではない。

 とにかく、彼は叫んだ。



「お前を倒し、俺は約束を守りに行く。──だから、ベリアル……貴様の陰我、俺たちが断ち切るぜッ!」



【涼邑零@牙狼 GAME Re;START】


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