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変身ロワイアルその6

538時代 ◆gry038wOvE:2015/08/02(日) 11:34:55 ID:cMWgAZpE0

 それを察知した三人は、中央の零を見て、一斉に頷いた。

「雷牙を鋼牙の紛い物だと思ってるのか? だとしたら、見当はずれだぜ」
『見てな、ガルム! もう一度地獄に帰ってもらうぜ!』

 雷牙の魔戒剣、零の魔戒剣、翼の魔戒槍が、頭上に四つの新円を描く。零の描いた二つのゲートは一つに重なり合い、やがて円は三つとなった。
 そこから繋がる「魔界」からそれぞれの元に鎧が召喚される。

 雷牙のもとに、金色に輝く鎧が──。
 零のもとに、銀色に輝く鎧が──。
 翼のもとに、白夜を彩る鎧が──。

 ──覆いかぶさり、ガルムの目の前で、三人の魔戒騎士が99.9秒しか戦う事の出来ない、人々を守りし戦士たちを作りだす。

 黄金騎士・牙狼。
 銀牙騎士・絶狼。
 白夜騎士・打無。

 この世界で現在、最強である三人の魔戒騎士だ。

「何っ! 黄金騎士だと!? 貴様、何者だ……!?」

 ステージ上で、青い瞳の黄金騎士の姿に驚いているガルム。
 彼女は未来の魔戒騎士の事など知る由もない。──死んだはずの冴島鋼牙の鎧が、何故今、このようにして現世で再装着されているのだろう。
 全くわけもわからない状態のガルムに向けて、牙狼が叫ぶ。

「俺は冴島雷牙! 未来からやって来た、冴島鋼牙の息子だっ!」
「なんだとっ……!?」

 戦闘を駆け出した牙狼が緑の魔導火を灯した黄金剣を振りかざすと、ガルムとの間を阻んだ素体ホラーたちは一斉に消滅していった。
 この素体ホラーたちの壁など、全て無駄だ。それでもまだ入射角の問題で生き残った素体ホラーたちを、絶狼と打無がそれぞれの武器を使って斬っていく。

「驚いたか……鋼牙の意志は死んじゃいない! お前たちホラーを狩る為に、いつまでも消えずにその鎧を纏い続ける……ッ!!」
『この黄金の輝きは、消えはしないぜッ! さっさとケリをつけさせて貰うッ!』

 絶狼とザルバの前のホラーたちもまた、彼の二刀流を前に消え去っていく。
 絶狼が十体ほど倒してしまい、力尽きていく素体ホラーたちの数は、残り僅かになっていった。

「ガルム、時間稼ぎなど無駄だ……! 貴様の野望は一体何だ!? 貴様が何を企んでいようとも、全て、俺たち魔戒騎士が打ち砕く!」

 打無が、残り僅かだったホラーを、得意の槍術で打ち砕いた。
 全てのホラーの爆発の飛沫も消え、僅か三秒の内に、その場にいたホラーは全滅し、残るはガルムだけとなる。
 ここは魔界ではない。いずれにせよ、鎧の装着時間には限度があるので、こうして雷牙が最初に多くを片づけてくれたのは良い策だった。

「「「ハァッ!!」」」

 三人の魔戒騎士が同時に放った炎が、ガルムの周囲を三角形に焦がした。
 彼女の周囲は一斉に取り囲まれ、逃げ場はない。──時間稼ぎのつもりだったが、全て、時間稼ぎにもならなかったという事である。

「くっ……!」

 ガルムは、苦渋を嘗めた表情で、その場で回転する。──すると、彼女の姿もまたおぞましい外見の怪物へと変化した。
 両肩と頭に、地獄の番犬の頭部を象った女型の装甲。
 ──獣化ガルムである。
 彼女もまた、コダマのように、魔戒騎士やホラーでないながら、人間体から変身する力を持っていた。しかし、ホラーに匹敵する邪悪な気配を持ち、既にそれは人の姿でありながら人ではない物になっていた。
 魔獣の匂いがその場に充満する。

「はっ!」


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