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変身ロワイアルその6

535時代 ◆gry038wOvE:2015/08/02(日) 11:34:01 ID:cMWgAZpE0

 コダマが青白いコトダマの光を口から掃き出し、両手にその力を蓄え、雷牙に投げつける。
 コダマの放ったコトダマの攻撃を、雷牙は魔戒剣を盾にして打ち返す。
 数発放たれ、返された事で地面へと叩きつけられたコトダマは、左右の地面で爆発するが、雷牙に一切ダメージはない。
 零も、ホラーの攻撃を防ぎ、蹴とばし、それから両手で剣を回転させながら、その光景を目の当りにしていた。

「……ザルバ、もしかしてあれは、カオルちゃんの血でも混じった結果かな?」
『わからん。……ただ、もうあいつ一人でいいんじゃないか?』
「まっ、そうとも限らないだろっ! 俺たちも少しはサポートしないとな。ハッ!」

 軽口を叩いている零も、ホラー狩りくらいならばまだまだ余裕であった。
 ただ、あのコダマの体力は無尽蔵で、人並外れているので、雷牙が心配でもある。
 実際、雷牙も、追い詰めていながら、まだコダマを仕留めるという段階には至らなかった。──それは、単純にコダマの耐久性が人間離れしているせいもあるだろう。
 その時、遂に逆境で追い詰められたコダマが、叫び出した。

「ウワァァァァァァァ!!!!!!!」

 このコトダマを使った時、青白い光が無数に彼の周囲に散らばる。──そして、それはコダマの元に収束していった。
 彼もまた、魔戒騎士たち同様、光の輪を頭上に発生させ、異世界から装甲を呼び出すのである。しかし、呼ぶのは鎧ではない。

「キシャァァァァァ」

 魔獣装甲──彼を獣にする装甲であった。
 ホラーにも酷似した装甲を纏ったコダマは、ホラーのように呻く。

 警戒し、コダマから一歩離れていた雷牙も、その魔獣の姿にぎょっとする。
 魔獣装甲は、ある意味では魔戒騎士と同じ技だ。──確かにホラーではないが、しかし、それは人間でも魔戒騎士でもない。
 そんなコダマを相手に、雷牙は脳内で対処法を練ろうとした。これまでの相手の定石では、もしかすると打ち破られる可能性もある。
 そんな考えを巡らせた雷牙の動きが止まり、コダマはチャンスとばかりに、コトダマをその手に現れた剣に向けて込めていった。

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

 剣の力を増幅させ、その剣の勢いを雷牙に叩きつけようとするコダマ。
 回避しようとするが、雷牙も咄嗟に魔戒剣を盾にするしかできなかった。彼にしてみても、これまで会った事のないタイプの敵に、隙ができてしまったのだろう。

「──!?」

 雷牙であろうとも、装甲を纏ったコダマのパワーには流石に力負けをする。
 鎧を召喚せねばならないが、だんだんと押されてくる上に、雷牙は魔戒剣を盾にしている為、鎧を召喚する事が出来ない。──思い切って、一度だけ力を籠めて跳ね返さなければ反撃は無理だ。

「シャッ……!?」

 と、雷牙が苦渋の表情をし始めたところで、不意に、コダマの動きが止まった。
 その直後、コダマの力が極端に弱くなったのである。まるで全身から力がなくなったかのようだった。

「シャ……ガッ……」

 右手の力を失って剣を落とし、腹部を抑え、真後ろを見ようとするコダマ。
 勿論、そこにあったのは、涼邑零の姿である。──両腕だけに鎧を纏い、双剣で真後ろからコダマの腹を貫いている。
 この相手に鎧を完全に装着するのは勿体ないとでも思ったのだろう。

「──もしかして、お前も、俺たちを数に入れてなかったのか?」

 雷牙ばかりに気を取られていた為、コダマの意識は、完全に零と翼を無視していたようである。彼からすれば、銀牙騎士や白夜騎士も所詮は無名の魔戒騎士──相手にするまでもないと思っていたのかもしれない。

 だが、零は既にバトルロワイアルと、閑岱の戦いまでの記憶と技量で、コダマとの実力差を縮めてやって来ている──。それは、コダマの想定を遥かに超えた実力を零に与えていた。
 彼も、将来の弟子とやらには負けていられないので意地もある。


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