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変身ロワイアルその6

534時代 ◆gry038wOvE:2015/08/02(日) 11:33:44 ID:cMWgAZpE0
 言われてみれば、ガルムを倒せばこの世界の浸食を越えられるというのは、間違いない話だと思える。
 零としても、雷牙の情報を信頼し、先にガルムを倒さなければならないという方針は定まって来た。

「……ただ、今、ガルムの根城は彼女の息子・コダマに守られています」
「っていう事は、ベリアルを倒す前に、またあのコダマを倒さなきゃならないのか……」

 ふと、零は、コダマという敵を思い出す。
 それはあくまで、零の記憶上にしか存在しないが、邪美を一撃で葬り、鋼牙が力を正面から戦っても全く倒せないような強敵だ。
 普段は執事のような服装をしており、常に三神官に従っていたあの男だが、結局は彼もホラーの味方だった。あの白い手袋での徒手拳と、無口ながらもコトダマを使って戦うやり方、そして魔戒剣さえ通らない両腕のガードがなかなかに強い。
 更に、彼自身はホラーではないが、魔獣の装甲を纏い、更に強くなるという厄介な変身形態が存在する。
 厄介な敵ではあるが、やはり今は、ベリアルの力で死者蘇生が起こり、この世界で立ちふさがる形になっているらしい。

「気を付けろよ、雷牙。コダマは強い。かつて、あの鋼牙が苦戦したくらいだ。俺の仲間も呼ぶ……それで、準備が整ったら一緒にガルムも倒しに行こう」

 雷牙は、零の忠告と提案に頷いた。

 あの鋼牙が心滅獣身を用いてようやく倒したような強敵だ。
 確かに、ガルムやメシア、レギュレイスを倒した後の鋼牙や零からすれば、コダマとの実力差も縮まっているだろう。
 とはいえ、まだ緊張が解けない相手だ。
 雷牙、零、翼の三人の魔戒騎士が揃えば、おそらく、ようやく倒せるような──。







 ──それから数時間が経過した。

「はぁァっ! ハッ、ハァッ! せやっ!」

 ガルムの根城のビルは、目の前にそびえたっている。根城というが、普通のビルにしか見えなかった。かつて戦った時と同じだ。人間の住処だった廃ビルを利用しているのだろう。かえって人目に紛れると思っているのだろうか。

 彼らは、まさしく、そのビルの外を守ろうとしていた従者・コダマとの戦闘の真っ只中であった。
 零が呼んだ仲間──それは山刀翼であったのだが、コダマとの戦闘は、実際のところ、零と翼が手伝う暇もなかった。彼らは、コダマの周囲のホラーを狩りながら、コダマと雷牙との戦闘を横目で見ている。
 目の前に現れる素体ホラーを狩りながら、翼は一つの質問を零にぶつけた。

「なあ、零。一つ訊いていいか!? ……こうまでして俺を呼ぶ必要があったか!?」
「……悪い! 俺も、ちょっとあいつを甘く見てたッ!」
『鋼牙に、零に……一体、あいつを、どんな鍛え方したんだ!?』

 彼らの目の前で繰り広げられている光景──それは、雷牙が魔戒剣と鞘の二刀流で、一方的にコダマを追い詰めている姿だった。それもまた零から覚えた戦い方であると察する事ができた。
 ……しかし、それにしてもあのコダマが、まるで雷牙に遊ばれているようにしか見えなかったのである。

 かつて、コダマと戦った鋼牙は、怒りに任せて彼と戦ったがゆえに、逆にコダマに翻弄されていた。──今は逆だ。
 あの無感情なコダマが、雷牙の振る舞いに顔を顰め、肩で息をしている。
 一方、雷牙は非常に落ち着いた太刀でコダマを狙い、何度も彼に向けて剣を叩きつけており、いまだコダマに二発ほどしか徒手拳の攻撃を受けていないのである。
 当初、コダマが戦いの前に行う、「礼」に「礼」を返した時は、その雷牙の態度に、「油断大敵」のことわざを浮かべたくらいだが、こうして雷牙は実際にコダマを打ちのめしているのだ。

「アッー!」


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