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変身ロワイアルその6

533時代 ◆gry038wOvE:2015/08/02(日) 11:33:25 ID:cMWgAZpE0

 そう雷牙に言われて、彼らは一斉に顔を見合わせた。確かに、太刀筋に限らず、それはカオルの血を持つ人間特有の物かもしれないが……いやはや、冴島家の跡取りがそんな文化的なはずがない。
 しかし、試しに、彼にも一応、画用紙で簡単な絵を描いてもらう事にした。

 ──そして、この後、ゴンザが変なポーズで絵を描かされた時、彼らは本格的に雷牙を信じる事になった(ただし、画風というか、方向性はカオルと随分異なり、腕前は、筆舌に尽くしがたいが……)。







「つまり、この時代の荒れ方の原因は、全てベリアル──それから、あのガルムの仕業だって事か?」
「はい。だから、ひとまず、ガルムを零さんと一緒にそれを倒すのが、俺のこの場所に来ての使命です」

 零は、紅茶を飲みながら、雷牙の持つ情報を受け取っていた。紅茶を飲むスピードは、どちらかといえば雷牙の方が早い。未来と変わらぬゴンザの紅茶の味に、雷牙も強い安心感も覚えているようだ。
 とにかく、雷牙によれば、この世界における「管理」は全て、ベリアルの力による物であり、もう一つの「食糧庫」としての扱いはガルムの意向による物だという。

 あのガルムと、その息子のコダマはなかなかに強い。
 かつては、コダマに苦戦し、彼を葬るには心滅獣身が使われる事になったほどだ。
 ──あれはまさしく、バトルロワイアルの最中での零と鋼牙の立場がそのまま逆になったような出来事だと言えよう。零もあの戦いの中では、バラゴを前に一度心滅を考えたが、鋼牙によって止められる事になってしまった。
 あの出来事を経験した上での言葉だと思うと、また別の感情が零にも出てくる。

『……で、そこまで手伝ってくれるのに、ベリアルの方には協力してくれないのか?』
「俺には無理です。だって、ベリアルは、零さんたち──あの殺し合いの生還者しか倒す事ができませんから」

 雷牙は、紅茶を飲みほして言った。何やら、慎重に角度を決めてカップをソーサーの上に置いているらしく、彼は鋼牙やカオルに比べても几帳面な性格のようだ。
 ……などというのを気にしている場合ではない。

「……それはどういう事だ?」
「……。……ベリアルの世界には、零さんたちしか立ち入れないんです」
「俺たちだけ……ザルバは?」
「それは可能です。行けるのは、参加者として戦ってあの世界への耐性がある者と、その道具や着衣、体と一体となっている魂や鎧……。だとすると、ザルバは共に持ち込めます」
『できれば、あんな奴と戦うのは御免だがな。……仕方ない』

 雷牙や他の魔戒騎士が来てくれれば心強いのだが、あの世界に立ち入る事ができず、ベリアル討伐には協力できないらしい。──いや、もしかすると、元々、鋼牙や零やバラゴまで監禁している時点で、あそこで共に戦うのは、難しいだろうか。
 何にせよ、結局はわらわらと湧いて来る管理エネルギーに対抗し、この世界を根本から救う事ができるのは、数多の魔戒騎士の中でも零だけという事だ。
 厄介な役回りだと、零は頭を掻く。ここでホラー狩りでもしていた方がずっと楽だ。

「──とにかく、まずは、この世界の人間界へのホラーの侵攻を止める為に、ガルムを止めなきゃならない」

 ひとまず、零はそう言った。ベリアルの管理が根本の原因だが、まずは対症療法でしかないとしても、ガルムの侵攻を食い止め、この世界の人間たちを脅威から守らなければならない。
 それが魔戒騎士の務めであり、そんな人たちが今、ここで命を削ってホラーたちと戦っているのだ。

 このまま放っておけば、この世界にもたくさんの死人が出て、静香や道寺もまた何度でも脅威に直面する事になってしまう。
 ベリアルの話をするのは、今この世界で人々が襲われている原因となるガルムを倒してからでも遅くはないだろう。

 ──そういえば、事前に零たちが昏睡させられていた一週間は、この世界はまだ管理しかされておらず、ゲームが終わって、零たちが脱出し、ガルムたちもあそこから離脱した後に、僅か三日の間に、この世界はホラーによって浸食された。


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