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変身ロワイアルその6
530
:
時代
◆gry038wOvE
:2015/08/02(日) 11:32:37 ID:cMWgAZpE0
「なあ、あいつは……?」
「いえ。私も存じ上げません。ここに来ている魔戒騎士や魔戒法師の名前は全て把握しているはずなのですが。……それに、あの服、あの剣は……代々冴島家にしか伝わっていないものです」
ゴンザが言う。
──なんと、その男は、あの冴島鋼牙と同じ白い魔法衣を身に着け、冴島鋼牙と同じ赤い鞘の魔戒剣を手に持っているのである。
どこかに鋼牙の面影さえ覚えるが、その顔立ちは、鋼牙より柔和で若々しい。
零は、彼の事を怪訝そうに見つめ、強い警戒を示した。そして、その風格になかなか近づけずいる魔戒騎士たちに代わり、零が前に出て彼に訊いた。
「なんなんだ、お前……? 一体、誰だ?」
ホラーではなさそうだが、ゴンザの言う通り、彼は本来、冴島家の人間しか許されないはずの恰好をしている。
それは、複製されたコスチュームではなく、確かに彼と同じく唯一無二の受け継がれた物だった。冴島大河、冴島鋼牙とその魔法衣もまた同じデザインである。
しかし、どんな魔戒騎士であっても、殺し合いの場に置き去られたそれを持っているというのは、些か不審だ。
「あ。あなたは、零さん。お久しぶりです。……いや、まだ初めましてかな」
「……お前、どうしてここに入って来た。だいたい、その魔法衣。お前一体、誰だ?」
何故、零の名前を知っているのかと思ったが、考えてみれば、零の名は世界中に割れているのだった。──厄介な話であるが、とにかく、零を知っている素振りを見せるのは仕方がない話だとしよう。
露骨に不審がる零の指で、ザルバが言う。
『銀牙。こいつからは、邪悪な意志は感じない。その代わり、とてつもない素質を感じるぜ』
「……じゃあ、試してみるか?」
零は、まだ警戒したまま──しかし、刀を鞘から抜かずに、謎の男に接近する。
──そして、相手の実力を試すべく、何発か刀を打ち込んでみた。狭い廊下で大男が多い為、激しい動きは出来ないが、零本来の実力の何割かは発揮できる。
相手が強いか弱いか知るには、それだけでも充分であった。
「はっ……! せやぁっ!」
──だが、謎の男は、零の攻撃をさらりとかわし、自身の魔戒剣の鞘を盾にして、何なくそれを防いでいく。金属音が耳元で鳴る。
これまでの敵のように動体視力が良いというよりは、まるで、零の太刀を完全に予見しているようだった。何度目かまでの打ち込み方までは、完全に目を瞑ってもタイミングや位置を予知されているかのようだった。
しかし、ある段階から、動体視力だけで零の剣を捉え始めたため、違和感を持ちつつも、零は少し豪快になった。
「はっ……!」
その後で、この男は、自分が劣性になる前に、鞘にしまったままの魔戒剣を突き出し、零の鼻先の手前を掠めて見せた。零の動きが止まる。少しでも動けば、突きを見舞うという事になる。
零も手詰まりで動けず、負けの状態であるように見える。
が、彼らは、お互いに少し、油断ならない笑みで笑った。
「──やっぱり、この時代の零さんも強いですね」
そう言う彼は、零の左手の魔戒剣が自らの腹に向かっていたのを確かに気づいていたようだった。──真下を見ていないが、自分が零の左の剣を避けられなかった事には気づいていた。
零の鼻先に彼の剣。彼の腹部に零の剣。
即ち、今のは──一見すると、謎の男の勝ちだが、実は零と彼との相打ちだ。
全く無駄のない動きに、周囲の魔戒騎士から感嘆の声が広がるが、それよりも、零には今の彼の動きに、見覚えがあるのを感じた。
それが、ただ純粋な笑みではなく、驚き混じりの油断知らずな笑みを片付くっていたのだろう。──零は、突如として真剣な面持ちになった。
「──この太刀筋、確かに鋼牙の」
『それだけじゃない。零、お前の癖も少し混じってるぜ』
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