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変身ロワイアルその6

514虹と太陽の丘(後編) ◆gry038wOvE:2015/07/31(金) 03:42:29 ID:didGUWPE0

「バカな……貴様、な……何故、この時間停止が効かない……っ!」
「だから、言っただろバカがっ! ──俺たちは、貴様ら如きに絶対に負けねえとな……!!」

 エターナルが、一度後方に退き、メモリをエターナルエッジに装填する。
 呆気にとられているが、今の重々しいパンチによって動けない超銀河王に向けて、冷徹な機械音が鳴り響いた。

──Eternal!! Maximum Drive!!──

 超銀河王の時間は、『止めていた』と思ったら、『止まっていた』。
 良牙の体力に加え、エターナルのパンチ力──そして、何より、自分自身が敵に猛スピードで向かっていた事による衝撃。──超銀河王の身体は、エターナルが自分に向けてマキシマムドライブを放つ瞬間を、膝をついて見ているしかなかった。

「うわああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!!」

 螺旋を描くエターナルの回転蹴りと、青い炎──。
 それは、その直後に超銀河王の頭部に向けて叩きこまれる。

「世界をこの手にするこの私が……この王があああああああああああああああッッッッ!!!!!」

 ──それが、レム・カンナギの儚い野望の、あっけない終わりであった。

「残念、無念ッッッ!」

 そんな、文字通り無念の叫びと共に、超銀河王の身体がサドンダスを巻き込み、大爆発を起こした。──勿論、二人の身体は粉々である。
 元は人間であったようだが、エターナルには既に財団Xの人間への慈悲はない。人間の心を喪った彼らは、最早人間ではない──そう思ったのだろう。
 そんな彼らの死に対して、エターナルが言う。

「……ばーか。こいつが──エターナルが、お前の能力を無効にしたんだよ」

 燃え盛る炎に向けて、エターナルローブをはためかせた。
 この『エターナルローブ』は、先述の通り、熱や冷気、電気や打撃を無効にする他、敵の特殊能力も例外なく無効にしてしまう不思議な性質を持つ。かつて、大道克己は、これによりヴィレッジで敵の『未来予知』を破った経験もあった。
 つまるところ、時間系の攻撃も一切効かない。──エターナルが存在する限り、超銀河王は自信の特殊能力をまともに発動できないのである。
 ゆえに、超銀河王の持つ時間停止能力もエターナルを前には無効化された。──しかし、カンナギは最後まで、何故自分の攻撃が効かなかったのか知る事はなかったようだった。

「これが乱ちゃんたちの苦しみや……」
「シャンプーの仇……」

 レム・カンナギとカタルという二人の敵の死に、右京とムースの二人の若者は、自分の知る者たちの死を重ねる事になる。だから、そんな言葉もどこか渇いたように、怒りや喜びの欠片も含まれないまま、ただ虚しく響いた。
 良牙がエターナルの変身を解除し、その炎の残滓が揺れているのを、全く哀れむ気もなく見下ろす。
 ──彼が次に見つめたのは、初めて敵の死に触れた二人の仲間だ。

「右京、ムース……」

 仮にも敵であったカンナギとカタルであったが、勿論、殺人に対して良い気分はない。
 彼らを倒したところで、結局のところ、久遠寺右京がずっと想い続けていた早乙女乱馬も、ムースがずっと思い続けていたシャンプーも、──そして、響良牙がずっと思い続けていた天道あかねも、帰ってくる事はない。
 ただ、そんなどこか抜け殻のような瞳の右京とムースに、良牙は言葉をかけた。

「………なあ、二人とも。俺がベリアルを潰して仇を取っても、必ず、ここで待っててくれよ。俺も、正直言えば、あかねさんのいない世界に意味はないと思ってたけど──」

 二人の肩に手を乗せる良牙。
 自分がこんな立場になる事など、ありえなかった事だったし、実際、良牙は自分の肩を叩いてくれる人間が一人でも多くいてほしいと思っていた。

「……でも、帰ったら、お前らがいた。それで少し救われたんだ! だから、必ずみんな、ここにいてくれ……!」


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