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変身ロワイアルその6

507虹と太陽の丘(後編) ◆gry038wOvE:2015/07/31(金) 03:39:55 ID:didGUWPE0

「……おい、カンナギ」

 そんな騒ぎの中、天道道場内で、ただ一人、俯いたままカンナギに声をかけたのは、拘束されている良牙だった。

「なんだね、良牙くん。……友達に裏切られて、随分とボロボロのようだが、口が利けたのかね」
「──確かに俺たちはバカだが、お前たちよりは、バカじゃない」
「何?」

 良牙を縛っていたロープは、良牙が少し力を入れると、一瞬ではじけるように破れ、解けた。岩石を抱きしめて砕くような男なのだから、このくらいは当然の芸当である。
 憔悴していたように見せていた良牙だが、あれは別に体力の限界というほどではない。──まあ、この二日間、地獄のような特訓を続けていたのもまた確かな話で、そこでムースに厭というほど打ちのめされたのもまた事実だが。

「……そうだ。おらは別に、この豚男を裏切っていたわけじゃない。本当は仲が良いのだ!」
「ああ、このアヒル野郎と結託して、ある作戦を立てていたんだっ!」

 ──ばきっ!

 仲が良いはずの良牙とムースが今、クロスカウンターの形で殴り合った。
 互いの顔面にまともに一発拳が入っている。豚男、アヒル野郎などと呼ばれたのが相当気に入らなかったらしい。

「……」

 その場にいた全員が呆気にとられていたが、気を取り直し、良牙は言う。

「お前たちは昨日、天道道場を襲ったようだが、何故、天道道場には、おじさんとかすみさん、なびきさんしかいなかったと思う……!?」

 良牙の言葉に、カンナギたちは眉を顰めた。
 そう──確かに、天道道場には、早乙女玄馬も住み込んでいるほか、この町一帯には、他にも乱馬の関係者や友人はいるはずだった。それらは一切、財団Xの手で見つけ出す事ができず、良牙の脱出後は捜索対象になっていたほどである。

 ──その捜索対象者たちは、実は今、ここに集っているのだ。

「──早乙女玄馬、参上!」

 中年男性の声が、カンナギの元に聞こえた。
 彼が見ると、磔にされていた人質三名の周囲のダスタードたちが軒並み打ちのめされて伸びており、人質の腕の拘束を一人の男が解いている。
 カンナギが玄馬の存在に気づいたのは、なびき、かすみに続いて、遂に早雲の拘束が解かれる段階であった。
 名乗った通り、彼は早乙女玄馬──乱馬の父である。三人の殺害が決行される前に、彼が格闘でダスタードを倒したのである。

「早乙女くん……てっきり君は、パンダになって逃げたとばかり……」
「何を言う! いくらなんでも、息子を殺され、大事な友達がこんな所に磔にされているのを黙って見捨てるわしではないわ……! 今日までは良牙くんを探しておったのよ」
「早乙女くん……私は君が助けてくれると、この二日間ずっと信じていたぞ……!」

 玄馬の態度を見て、掌を返す早雲の姿を、なびきは冷やかな目で見つめていた。
 そんな時、外からも、何か騒がしい声が聞こえ始めた。
 カンナギが慌てて外の様子を見ると、そこにあったのは、部下たちによる民間人の虐殺の光景ではなく、──データで軽く閲覧した人物たちの様子であった。
 先ほどから聞こえていた断末魔は、ダスタードに殺される一般人の声ではない。──一般人に倒されるダスタードたちの声なのだ。
 カンナギたち、道場内にいた財団Xの人間には、まさに「予想外」な行動をされたが為の、動揺が広がっている。

「大阪から、乱ちゃんとあかねちゃんの仇やっ!!」

 久遠寺右京が、愛用の巨大な鉄のヘラを使ってマスカレイドたちを一掃している。
 彼女の幾つものお好み焼き技が敵に炸裂し、マスカレイドたちは見事料理されていった。
 もはやマスカレイドたちに成す術はなく、右京のお好み焼き攻撃に敗れ、何人かは本当にお好み焼きにされている。

「北海道より、おさげの女と天道あかねの仇!」


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