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変身ロワイアルその6

490時(いま)を越えろ! ◆gry038wOvE:2015/07/27(月) 03:44:18 ID:OupDhxSw0
 ただ、絶対に、暁は、“自分がやりたくない事”は絶対やらない人間であり続ける。
 だから、それならば……ニードルやベリアルを絶対に倒してやるという意志が生まれている。

「……だいたいな、ここにいる、この今にも顔にラクガキできそうな俺は、世界は違えど、この涼村暁様と同じ色男だぜ?」

 そう言って自分の身体に肩を回し、ピースをする暁。この世界の物には触れられないので、少し暁(現実)の方から浮かせている暁(夢)の手。
 その笑顔は、今までの無邪気な笑顔と何も変わらなかった。
 諦めるな──その言葉を胸に、この絶望的な世界にも希望を微かに抱いている。



「──この俺はな、もし、この止まった時(いま)を超えたってな……きっと、このままそう簡単には死ぬ人間じゃないんだ……」



 そう──。



「……だってな、ニードル」



 だって、彼は──



「俺は……俺たちは、たとえ夢でも現実でも……選ばれた戦士──スーパーヒーロー、超光戦士シャンゼリオンなんだぜッ!!」



 ──これでも、ヒーローだから。



 この世界のシャンゼリオンが掲げた言葉を、涼村暁は倍にしてニードルに叩きつけた。
 すると、ニードルも諦めがついたらしく、すぐに嘆息した。
 ばかばかしい、と思っているようだが、その反面、暁一人が戦力に加わった所で戦果の向上があるなど期待していない。思いの外、簡単にあきらめたようだ。

「……わかりました。交渉決裂ですね。──いずれ来る、あなたの世界の崩壊を楽しみにして待っていましょう」

 ニードルがいやらしく笑い、時空魔法陣を発動して、彼の元から去る。
 その背中を見送った後、暁は、少しだけ体の力を抜いた。
 暁は、ただ一人、その止まった時間の中にいる自分の姿を見て、祈った。
 ダークザイドに負けまいと、この状況で燦然して戦おうとするその姿に、今、この暁は少なからず勇気を貰っている──。

(……なあ、頑張ってくれよ、俺……! 絶対、ダークザイドなんかに負けるなよ! 俺の……そして、朱美たちの命がかかってるんだからな!)

 ──そして、取り残された暁も、やがて、その世界から自動的に姿を消した。







 ──暁は、気づけば、時空管理局の船アースラの中にいた。
 どこかの世界で倒れていたのを、その世界の人間に保護され、アースラに運ばれる事になったのだ。
 その世界が、暁の帰るべき世界──「夢」のシャンゼリオンの世界ではなかったのは、彼にとって、僅かに不幸な事であったかもしれない。
 いうなれば、それは、朱美たちと会う最後のチャンスだったからだ。


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