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変身ロワイアルその6

469あたしの、いくつものアヤマチ ◆gry038wOvE:2015/07/26(日) 18:18:00 ID:2QeaXfr60

 ヴィータも杏子同様、可愛い声と姿ながら、おそろしく口が悪かった。
 物凄く不愉快そうな顔で杏子にグチグチと言い続ける。杏子としても、それは尤もだと思ったが、それでも杏子は不愉快な顔になる。

「──なんだあんた、初対面でいきなりバカ呼ばわりしやがって」
「……ていうか、マジにあんたに世界がかかってるってのが信じられねえって……」
「助けてくれたのは礼を言うけどさ、それはそれとしてバカ呼ばわりはないだろ!? 失礼なチビだな……」
「うるせえ、チビじゃねえよ。バーカバーカ……!」

 ドブライにボルテッカに殺されかけた事など忘れて、目の前の相手といがみ合う二人。
 その瞬間、バリアがようやく、ボルテッカのエネルギーを弾き返し、その残滓を砂漠の彼方に落とした。安心できるのはようやく今この段階であるという事なのだが、緊張感のない二人である。

「……ヴィータさんと杏子さん、出会って二秒で仲良くなっちゃったね」
「そんな気はしてました。──正直、杏子を初めて見た時、彼女を思い出しましたから」

 ヴィヴィオとレイジングハートは、とりあえず、その様子を見て一安心であった。

「──良かった、地上の人たちは無事か……」

 その遥か数十メートル上空で、テッカマンも一安心していたようだ。
 しかし、その安心は束の間だ。彼は今が戦闘中である事を全く忘れていない。
 無抵抗の少女を殺害しようとしたドブライを睨み、構えた。

「──ドブライッ! 貴様の戯言はもう聞き飽きた! 貴様が何者で、どんな目的があろうとも関係ない! 俺たちは、この人たちの自由を脅かす貴様を倒す!」
「貴様の歪んだ正義を打ち砕き……彼女たちを守ってみせる!」

 テッカマンに、シグナムたち──管理局の空戦魔導師たちが並んだ。
 ワルダスター艦隊は撃退こそしていないが、ドブライの話を聞き、戦意喪失直前──即ち、自分がどう動くべきなのかわからない状態になっていたようだ。

「喰らえ……ボルテッカァァァァッッッ!!」
「火竜一閃ッ!!」

 ドブライに向け、テッカマンたちのあらゆる技が炸裂した。
 人々の怒りは、一瞬にしてドブライの身体を飲み込んでいく。──すると、ドブライの身体が光に焼かれ、空中で爆発する。
 思いの外、あっさりと、彼らの怒りを前に沈んだ。







 ドブライは、ぼろぼろの身体で、ぷすぷすと煙をあげながら、地上に落下していた。
 どこかの星の人間とは思えないその奇怪な容姿。一つの目玉から無数の触手を這わせる、不快な色の物体は、黒い煙を発する空を見上げる。

「ぐっ……バカな……っ!」

 それから、また、目を別の場所にやった。
 彼の目線の先には──、キュゥべえがいた。ドブライとキュゥべえの目が合った時、ドブライはしめたと思ったくらいだ。

「おお……インキュベーターよ、私とベリアルの目的も貴様と同じだ……。この宇宙の膨張を先延ばしにし、宇宙を救う事ができる……! 頼む……協力してくれ……!」

 テッカマンだけならばまだしも、管理局の魔導師たちを敵に回してしまったのがいけなかったのだろう。──一斉に魔力やボルテッカが流れ込んだ為に、ドブライたれども耐えきれないダメージが襲っていた。
 彼は、最後に、このキュゥべえに協力を要請する。感情に流されず、絶対に宇宙に対して平等な判断を下せる彼である。間違いなく、自分に協力してくれるだろう。
 キュゥべえはそんな彼を、無表情で見下ろしていた。

「──残念だけど、ドブライ。君の言っている事は、僕にも全くわけがわからないよ」

 だが──彼の言葉から出るのは、相変わらず無慈悲な一言。


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