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変身ロワイアルその6

465あたしの、いくつものアヤマチ ◆gry038wOvE:2015/07/26(日) 18:16:46 ID:2QeaXfr60
 もしかすると、キュゥべえはここにいる人間にとって重要な情報と不要な情報の区別がついていないのだろうか、と。
 それが不要な情報なわけないだろう、と。

「それを早く言えよっ!!」
「それを早く言ってーっ!!」
「それを早く言ってくださいっ!!」

 杏子、ヴィヴィオ、レイジングハートの三人の声が被った。
 スペーツナイツですら全く正体を知らなかったドブライなる存在である。──という事は、つまり、この世界の地球人にとって未知の情報だ。
 テッカマンと協力関係にある以上、それを伝えるのも当然と思われる。
 それに、悪党星団ワルダスターがあの殺し合いに関わっていたという事で、杏子たちにも関わりのある存在であるのは間違いない。
 とうのキュゥべえは、「敵の目的や正体を知って何か得があるのだろうか」という感じである。

「──まあ、君たちがそう言うなら、僕は惜しみない協力をするよ。ただ、情報の正確性でいえば、そこまで信憑性のある物ではないと思ってくれ」

 とにかく、言われれば教えてくれるのがキュゥべえであった。
 今は、情報の秘匿を責めるより、こうしてなんとか情報を引きだした方が有益な存在である。彼は今、この宇宙の状況を知るには、かなり貴重な情報源であるといえよう。

「まず、あのドブライは、彼らの宇宙の意思と意識を共有している生命体だ。──元々は、その星雲の人間の一人であったようだね。ただ、その星雲は、宇宙の膨張に巻き込まれてあと十年で滅んでしまうようだ」

 キュゥべえの話す内容によると、ドブライも、元々は故郷をなくした一個の生命体に過ぎないらしい。
 しかし、それがどういうわけか宇宙の意思なる物と同化してしまったのがワルダスター首領の成り立ちだという。

「だとすると、彼はきっと、自分の星雲に代わる新しい居住地を探しているんだろうね。その過程において、近々滅ぶ多くの星を侵略して、その星の人間を捕虜や部下にする事で保護している。ただ、地球人だけは、あくまで滅ぼそうとしているんだ」
「なんでだ……? 地球人だけは滅ぼすなんて……」

 杏子は、それが不思議で訊いた。
 多くの星を侵略した後、「捕虜」や「部下」にするのが彼らなら、何故、地球人に限って、「殲滅」という手段を取ろうとするのだろう、と。

「……彼は宇宙の意思と意識を共有しているんだよ? それなら、答えは一つじゃないか」

 キュゥべえは、無感情に、冷徹にそこから先を告げてみせた。



「この宇宙にとって、地球人は有害で滅ぼした方が利益になる存在だ。──それが、この世界の宇宙が下した結論だという事だよ」



 キュゥべえは、宇宙人ゆえの客観的な視点だからこそ、全く違和感もなく、その理論だけは受け入れる事ができていたらしい。──まったく、表情を変えていなかった。
 この世界の汚れた空気を鼻で吸い込み、杏子は苦味のある固唾を飲んだ。







 太陽の前で構えるドブライは、それを見上げるテッカマンたちに影を作った。
 残り少なくなったワルダスター艦隊の攻撃が一斉に止む。ドブライが何らかの指示を送ったのだろうか。
 ──しかし、追い詰められたからこそ、ドブライはテッカマンたちに全てを話す時だと思ったのだろう。ドブライが作る影の真下で、テッカマンは息を飲む。

「──この荒んだ大地を見よ、地球人ども!」

 杏子とヴィヴィオがキュゥべえたちを抱えてアースラから、外に出る。


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