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変身ロワイアルその6

464あたしの、いくつものアヤマチ ◆gry038wOvE:2015/07/26(日) 18:16:28 ID:2QeaXfr60

 シグナムとテッカマンは、共に言葉を交わしながらも、着々と目の前のワルダスターたちを打ちのめしていく。そうして地上に零れた戦闘機の成れの果てたちが、アースラを巻き添えにしないよう、防御する部隊もあるようだ。
 普段考えなしに戦う事が多い城二だったが、この管理局という組織はもっと頭を使った戦い方をしているようだった。
 ──彼女たちならば安心だろうか、とテッカマンは思う。

「わかったっ! だが、俺の前では誰も死なせはせん!」
「了解だ。こちらとて、死ぬつもりはない……」

 言うと、テッカマンは左腕からワイヤーを放った。
 伸縮自在のワイヤーは十機ほどの戦闘機を纏めて捕獲し、それらを一斉に縛り上げてしまった。

「──飛龍一閃!!」

 そうして纏められた数十の戦闘機をシグナムの放った魔力が撃墜した。
 全てが爆発する──。誘爆が、更に何十の戦闘機を崩壊させた。
 ドブライまでの道のりが一斉に晴れていく実感がテッカマンの中に湧きあがってくる。

「ドブライ……貴様、一体、何のつもりだ……!? 目的はなんだ……!? 貴様らワルダスターは何故、ベリアル帝国に魂を売ったのだ!?」

 尚も、何体もの敵を屠りながら、テッカマンは目の前に見えてきている敵に訊いた。
 シグナムは、そこから遠ざかり、アースラを迎撃しようとする艦や戦闘機を斬り裂いていた。──テッカマンの為の道を切り開いているのであろう。
 実際、艦長からの指示は、「アースラの護衛」と「テッカマンの援護」である。
 テッカマンはペガスの背の上で、ドブライに向かって飛んでいく。

「聞きたいか……テッカマン!」

 テッカマンとドブライとの距離は縮まるが、それを阻んでいくワルダスターのメカ。
 テックランサーを投擲し、突き刺して破壊する。
 それをワイヤーによって回収し、再び構えたテッカマンは、五十メートルほどの距離の向こうにいるドブライに言う。

「何故、貴様は俺たちを襲うんだッ! ドブライッ!」

 何故、ドブライはこの地球を襲うのか。
 そして、何故、ベリアル帝国に協力するのか。
 この世界の人間の一人として、テッカマンは──南城二は知らなければならなかった。

「フン……ならば、聞くがいい。人間ども──そして、テッカマンよ! ワルダスターが──ベリアル帝国の果たすべき使命を! 貴様らがいかに愚かであるかを……!」







 杏子は、ヴィヴィオの部屋で外の轟音を聞いていた。
 城二、アンドロー、隼人と、戦闘能力を持つ人間は外に出るが、確実に生存して変身ロワイアルの世界に介入しなければならない二人はここで待機──。今にも狙われている艦の中で、じっとしているというのは、戦闘ができる彼女たちには気が気でないものだ。
 しかし、信頼する他にできる事がないというのもまた事実である。

「……うーん」

 と、何故か、キュゥべえがその時は、頭を悩ませていた。

「どうも引っかかるなぁ。あのドブライが何故、ベリアル帝国に協力しているのか……」

 言葉の割にあまり興味がなさそうに聞こえるが、その言葉に、杏子たちは違和感を覚える。
 ──まるで、その言い草だと、敵の首領であるドブライを知っているかのようだ。
 杏子が、おそるおそるキュゥべえに訊いた。

「なぁ……もしかして、お前、ドブライって奴について何か知ってるのか?」
「まあね。僕たちインキュベーターは意識を共有しているから、仲間がワルダスターについて調査していた内容が僕にも伝わって来たんだ。君たちにも教えておいた方がいいかい?」

 ──その返答に、杏子はわなわなと肩を震わせた。


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