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変身ロワイアルその6

457あたしの、いくつものアヤマチ ◆gry038wOvE:2015/07/26(日) 18:14:13 ID:2QeaXfr60



 ──そして、アースラが不時着した世界は、とある荒廃した地球であった。

 座標が確認されていない管理外世界だ。ベリアル帝国の影もここにはない。──そもそも、そこには人が住んでいる様子さえ感じられなかった。
 見渡す限り、その世界には何もない。ただ、空気は酷く汚れている事だけはわかった。普通の環境で育った杏子たちは、すぐに口を噤み、呼吸を躊躇ったほどだ。
 乗員の多くは内部で作業にあたっている。クルーの中には整備班も結構乗っているらしく、専門外でも何らかの形で力を添えているようだ。

「……思ったほどの傷じゃなさそうやな。それでも、元々老朽化していた艦やしなぁ。時空移動で無茶しすぎたみたいで、修理までは一週間かかりそうや」
「──生還者探しには、大きなタイムロスができるな。それまでみんな逃げ切ってくれていればいいんだが……」

 はやてからの報告に、クロノが言う。艦長の仕事は杏子が思っているよりも忙しいようである。だから二人で役割を分担しているのかもしれない。
 ともかく、彼らは、今、このアースラの修理に取り掛かっていた。砂漠のような大地である為、アースラの巨体が不時着しても、これといって問題が起きない場所だ。あまり警戒せずに修理ができている。
 ラダムの追跡は時空移動とともに止まったらしく、侵入した気配はなかった。

「……しかし、これがパラレルワールドか? 凄い世界があるもんだな、ヴィヴィオ」
「砂漠、ですかね……? どこの国?」

 杏子とヴィヴィオは技術がなく、修理を手伝えない為、外に出てその世界の周囲の様子を探っている。
 万が一襲撃された場合の為に、杏子、ヴィヴィオ、レイジングハートがセットになっている。他には、キュゥべえを含む妖精&デバイスたちもいた。
 はっきり言って、こうして揃ってどこまでも行く必要がなかった。目の前に広がっているのは、果てしなく変わりのない「嫌な光景」だ。慣れがたい汚染された空気ゆえ、あまりアースラから遠ざかりたくない心理も働く。この先、冒険する意味はなさそうだ。
 ただの砂漠とは気色が違い、何となく不穏な予感が杏子の中にも過っていた。

「酷い場所だな、ここは……」

 杏子が思わず、呟いた。
 すると、そんな折に、タイミング悪く、この世界の住民たちが二人、彼女たちの背中を見つけていたのだった。

「────これは、俺たちの地球の姿だ」

 彼女たちは、その声で、後ろにいた者の姿に気づいた。
 一瞬、クルーかと思われたが、その言葉を聞く限りではそのようには聞こえず、杏子が振り向いた。
 そこには、濃い顔の二人の男がいた。微かに警戒するが、攻撃を仕掛けてくる様子はない。
 いつの間にそこに立っていたのだろう。──彼らも、この場を彷徨っていたようだが。
 杏子はおそるおそる訊いた。

「あ、あんたは……?」
「俺は、南城二。又の名を、宇宙の騎士テッカマンという。この世界の人間だ」
「と、その仲間のアンドロー梅田ってもんだ」

 もう一人、城二の後ろからひょこっと出てきたのは、アフロヘアーが気になる細見の男性だった。随分と変わった名前で、芸人かと思ってしまう。
 この二人の男は、青、緑のそれぞれ変わったスーツを着ており、それによって汚染を耐えようとしている。この世界の住人らしく見えた。

「テッカマン……?」

 城二が口にした「テッカマン」の名に、杏子は反応した。勿論、テッカマンランスやソルテッカマンを連想したのは言うまでもない。一瞬、構えて警戒する。
 だが、既に管理映像で杏子を知っていた城二は、それを察して、返答した。

「……いや、俺はあのバトルロワイアルにおけるテッカマンとは無関係だ。ラダムなんて言うものも知らない。ただ、放送を担当したランボスという男とワルダスターにだけは心当たりがあるんだ。まさか君たちがここにいるとは思っていなかったが、一応伝えておこう」


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