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変身ロワイアルその6
455
:
あたしの、世界中の友達
◆gry038wOvE
:2015/07/26(日) 18:12:41 ID:2QeaXfr60
「二人の事はすまない……あたしのせいだ」
振り返れば、フェイトとユーノの死に、責任があるのは杏子だ。責任というよりか、もっと根深く関わっていたかもしれない。
場合によっては、加害者になっていた可能性だってある。
元々、杏子の悪意から生まれた悲劇だ。──フェイトにしろ、ユーノにしろ、あの時の杏子にとっては、取って食おうとした相手なのである。
翔太郎が彼らを救えなかった事より、遥かに大きな責任が──杏子にはある。こうして二人の知り合いを実際に前にすると、何とも居心地の悪い気分になった。
そんな杏子に、クロノは告げる。
「君が謝る必要はない。……二人の死を誰よりも悲しんでいたのは君だと思う。それで十分だ。──いずれにせよ、あの戦いの全ての罪は、法律上はカイザーベリアルに課されるだろうが、それだけじゃなく、僕たちは自分自身の意思で、君を許そうと思う」
杏子を、「ユーノとフェイトの知り合い」というフィルターだけで見ていない証だった。形式ばった言い方だが、ちゃんと自分自身の感情とも向き合っている。
彼女のその後まで含めて、杏子という存在を見ているのだ。
「ありがとう……恩に着る」
「……それに、僕たちは実感がなかったからな。彼らと共に今日まで生きてきたのを覚えているのに、それがずっと過去に連れ去られて死んだと言われても納得しがたい所があるんだ。──本当なら君とわかり合うには、もう少し時間はかかったかもしれないが、怒りは自然とベリアルに向けられた」
クロノにそう言われると、確かに杏子もこの「幼少期のフェイトやユーノの死」が現代のクロノたちにも影響を及ぼすシステムがいまいちわからず、少し混乱もしていた。
実際、杏子の頭の中で魔女と魔獣の記憶が存在するのもまたそうなのだろう。
杏子は、一度死んでいた記憶もある。記憶上ではさやかとも親しくなったし、まどかとも少しだけ交流している。──そして、「死後の記憶」は「何もない」。
それをあまり大きな違和感なく受け止めている自分に、少し違和感を覚えるほどだ。
ただ、大まかにだけは、クロノの言いたい事がわかった気がした。
「……実は、この艦も、本来なら既に廃艦になっているはずの艦だったんだ。しかし、なのはやフェイト、ユーノの消失と共に、この艦の寿命も延びたらしい。歴史の矯正力というやつのお陰だ」
なのはやフェイト、プレシアやユーノ、スバルやティアナといった存在の有無により、この艦の少しの無茶で擦り減った寿命が僅かに取り返され、結果的にこうしてアースラが再来したのではないかとクロノたちは推察している。
彼らにとっても、アースラはもうないはずの艦だった。それが、ある日突然、現れたのである。
微かな時間だけかもしれないが、ヴィヴィオとアインハルトが出会う時代までこの艦が動き、彼女を乗せる事になったというのは数奇な運命だ。
「──この子が役目を終えるのは、それだけ多くの仕事をしてきたという事でもあったんやけどな。……廃艦は寂しいけど、それも全部、みんなとの戦いの勲章や。それを思うと、こうしてこの子がまだ使えるのは複雑やわ」
一方、はやてという関西弁の美女の方はそんな艦の現状に不服でもあるらしい。
このアースラに愛着があるからこそ、新しい時代まで酷使され続ける事に対して、妙に残念そうに呟いているようだった。
「まあ、そう言うな。この未登録の“アースラ”だからこそ、時空移動にはベリアルたちの“管理”に対しての制限がない──今はこのアースラの存在が、都合が良いんだ」
元々、時空管理局もベリアル帝国によって一部鎮圧されていた状態だった。
クラウディアなどといった現行の艦は全てベリアルたちの管理の影響で使用不能となり、渡航そのものが不可能となった際に、彼らの目の前に提示された唯一の希望がこのアースラだったのである。
ベリアル帝国による奪取や制限がかけられた中、当時とほぼ同じく自由に駆動させる事が出来たこのアースラは天の助けだ。彼らはそれを利用し、異世界の技術によって更なる補填や時空移動能力の強化を行い、ベリアル帝国との戦いに臨もうとしたのである。
「……フェイトたちが載った艦、か」
「ああ。だから、この艦が今、こうして動くのは、まだ幼かった時の彼女たちの力添えだと思う事にしている」
なのは、フェイト、ユーノ、クロノ──彼らは別時空の存在であったが、そこには疑う余地もない友情が芽生えているらしい。
実際に、杏子も世界の差など超えて、あらゆる人とここで友達になった。
それを思えば、彼らも杏子も同じなのかもしれない。
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