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変身ロワイアルその6
454
:
あたしの、世界中の友達
◆gry038wOvE
:2015/07/26(日) 18:12:23 ID:2QeaXfr60
「ええ、たぶん……。私の住む世界とママが住んでた世界も元々別の世界ですし。今は色んな世界が繋がったって……」
そう言われて、ふと杏子は胸に嬉しさが湧きあがる。
翔太郎に、風都に遊びに来るよう誘われていた──あの約束は果たせる事になるかもしれない。翔太郎は異世界を渉る仮面ライダーの存在を知っていた為にそんな事を言ったのだが、杏子は元の世界に帰ればそれはお別れに直結すると思っていたのだ。
こうして、時空を移動する船が存在し、また平然と会える事を知って、杏子は少し嬉しい気持ちもあった。
「──そうか。んじゃ、さっさとみんな集めてベリアルを倒しに行こう! んで、みんなで誰かに……そうだ、あの翔太郎の兄ちゃんに美味いもの奢ってもらおうぜ!」
杏子は更に強気になって言った。全く元気に溢れた姿である。
ヴィヴィオたちもそれなりに心配していたので、この姿に少し唖然とした。
「杏子さん。なんか凄い自信ですね……! でも、とにかく、今は残ったみんなで頑張るしかないです。杏子さん、協力してくれるんですね!」
「当たり前だろ。──残ったみんなでベリアルを叩くんだよ! あたしたち、ガイアセイバーズがさ……!」
ヴィヴィオの姿を見た時、杏子は織莉子とキュゥべえへの不信を脳内から排除して、この艦の事を信頼してみる事にしていたのだ。
◆
そのすぐ後に、杏子はこのアースラの艦長に直に会うという事になった。
それは、杏子自身がどうしても会わなければならない存在であったという事もある。
「広いなぁ、ここ」
「ええ、これでも、十年以上前の技術なんですよ、この艦。……今はコンパクトになってる所もありますけど」
「これが十年前って……」
杏子は、ヴィヴィオの案内を受けてブリッジまで向かっていた。
やはり、この艦は広く、構造をよく知っている誰かの案内なしには、誰でも響良牙の如く迷子になってしまうような所だった。
……というよりか、良牙をここに呼んで大丈夫だろうか。それ以前に、良牙は元の世界で迷子になっていないだろうか……などと、今回は良牙の方向音痴ぶりを気にしながら歩き、ようやく、ブリッジのある場所まで到着する。
「ここです」
「うおっ……」
ヴィヴィオの部屋の数倍広く、これが「時空移動艦」なのだと理解させる前方の光景を映しているその場所にいたのは、数名のクルーであった。
艦長はどこにいるのだろう、と思った矢先、二人ほどこちらに歩いて来て、挨拶する。
「佐倉杏子だね。この艦で時空移動をしている、クロノ・ハラオウンという者だ」
「同じくもう一人の艦長の矢神はやてです」
「──ベリアル帝国によるバトルロワイアルのモニター映像は確認した。フェイトやユーノとの話も全て見させてもらった」
より広いブリッジで、杏子は二人の艦長と対面する。
思いの外若い男女だ。二十歳前後だろうか。艦長というほどのキャリアではないように見受けられる。キャリアを重ねた者は、艦長としてではなく、補佐としてここに乗船している形になっているらしい。
「……フェイトとユーノの知り合いか」
「ああ、彼らとは同時代に同じ事件を担当した友人だ。今の時間の流れで言うと、二人も僕と同様の年齢や体格になっているはずだったが……」
──そうなる前に彼女たちは死んだ事になった。
勿論、クロノは、あの二人が同年代になり、ヴィヴィオの親代わりになっていた事実まで含めて覚えている。しかし、だからこそ、普通に大きな事件もなく、幸せに魔法で格闘技をする時代がやって来た頃のこの大事件に遭遇した事になってしまった。
仮に生還していたら、フェイトはここにやって来た瞬間、ヴィヴィオの時間軸に合わせて成長し、杏子を見下ろす事になっていたかもしれない。
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