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変身ロワイアルその6

449あたしの、世界中の友達 ◆gry038wOvE:2015/07/26(日) 18:08:19 ID:2QeaXfr60
 ミラクルライト──どこかの異国の言葉で、「人間魔獣化光線」とかそういう意味を持つとかそういうオチではないだろうな……などと思いながら、訝しげにキュゥべえに訊く。

「……で。それ、どう使うんだ?」
「これを振って、ピンチになったプリキュアを応援すると、プリキュアが強化されるんだ。すると、人々の間にあった絶望がリフレッシュされ、希望に転じていく。きっと、君にも効くはずだ。それに、闇を追い払う力まであるという優れものさ。エネルギー変換は、絶望と希望の“相転移”だから、僕たちにとっても、かなり都合が良いよ」
「……」

 信頼していいのか、怪しんでいいのか、だんだん杏子の中で微妙になってきたところであった。
 しかし、キュゥべえがこれほど活き活きと話している姿も見た事がない。
 まるで──そう、フィリップのように強い好奇心か何かに縛られているようだ。
 このキュゥべえの常識を覆すアイテムであり、それがキュゥべえの目的に恐ろしいほどに合致していたからこその歓喜なのであろう。彼の常識を崩す一品だったであろう事も間違いない。
 一応、疑いは薄くなっていく。

「……本当なのか?」
「そんなに疑うのなら、実演してみようか? こんな風にね」

そんな様子を見て、キュゥべえは実演しようと、ライトのスイッチを押した。すると、ミラクルライトの先端に光が灯される。

「────がんばれーっ! プリキュアーっ!」

 杏子に向けて、そう叫びながら、ミラクルライトを激しく振って、その光を浴びせるキュゥべえ。
 チカチカと、杏子の瞳に向けて放射されるピンクのハート型の光。
 暖かく、どこかプリキュアの攻撃にさえ似ているそんな光を杏子に向けられる。
 いつになく必死に、活き活きとミラクルライトを振るうキュゥべえの姿は、どこかシュールだった。

「……」

 ──が、結論から言えば、それは杏子にとって、鬱陶しいだけであった。現状、杏子が強化されている事は全く無い。そもそも、何を以て強化というのか、今の杏子にはさっぱりわからない。

「がんばれーっ! 杏子ーっ!」

 懲りずに、チカチカと杏子へのダイレクトアタックは続く。この薄暗い路地で、至近距離からのライトは瞳孔に激しいダメージを与える。
 昔のテレビアニメで、激しい点滅によって、視聴した子供の入院が相次いだ事件を、杏子はふと思い出す。キュゥべえはその点滅に近い物を行っているような感じがする。
 ……すると、流石に、抑えていた沸点が爆発したようで、肩をわなわなと震わせた後、杏子はキュゥべえに向けて叫んだ。


「──って、効くかっ! ……近くの人に向けて振るんじゃねえ! 目がチカチカして眩しいだろ!」


 あまりの瞳孔への刺激に苛立って、期せずして取扱注意事項を説明しながら、キュゥべえの頭を思い切り叩く杏子。
 それと同時に、キュゥべえが激しく振り回していたミラクルライトが、思いっきり手が滑って飛んでいき、杏子の鼻の頭にコツンとぶつかる事になった。
 一応、それなりに固い物体らしく、「いたっ」と小さく呟く杏子。軽く涙目になるほどミラクルライトの投擲は痛い。
 杏子は、鼻の頭を抑えて怒る。

「……むやみやたらとぐるぐる振り回すんじゃねえ! 人にぶつかって危険だろ! 殺すぞ!」(取扱注意事項2)

 何故か、キュゥべえに対して──いや、もしかすればかなり不特定多数の人間に対して、ミラクルライトの取り扱い方を教授しているようで、杏子としてはどこか腑に落ちない物があったが、とにかくキュゥべえを叱る杏子。

 キュゥべえは、ミラクルライトを振るのをやめて、そんな杏子をただ無表情に見ている。
 ミラクルライトの実験の真っ最中で、何故杏子に対してミラクルライトが効いていないのかを再度考えているようだ。


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