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変身ロワイアルその6
447
:
あたしの、世界中の友達
◆gry038wOvE
:2015/07/26(日) 18:07:43 ID:2QeaXfr60
キュゥべえは、まだ続けていたが、そこまで喋ると一拍置いた。
「ベリアルを倒すには、ベリアルが今いる世界──つまり、あのバトルロワイアルの世界に行かなければならないんだけど、今のところ、それは誰が試みてもできなくてね」
何故か、こうして、この話を強調した時、嫌な予感が杏子の中に過った。
キュゥべえの言葉に妙な含みを覚えたのだ。──キュゥべえの瞳は、こちらに何かを訴え、強要しようとしているようにさえ見えた。
かつて契約する時に見た彼の瞳のそれだった。
そして、……キュゥべえは、当然のように告げた。
「調査の結果、あそこに行く事が出来るのは、君たちみたいに、一度あの世界に行った事で、あの世界に耐性が出来ている人間だけだとわかったんだ」
そう──世界の運命を変えられるのは、あの殺し合いから生き残った、十名前後の生存者だけなのだ。
その一人には勿論、杏子も含まれる。
「──宇宙の為にも、ベリアルと戦いに行ってくれるよね? 杏子」
実際のところ、その脱出した仲間を集めて、またあの殺し合いの現場に行き、ベリアルと戦えというのが、このキュゥべえの言いたい事らしい。
この安全圏からそんな事を言えるキュゥべえには腹も立つ。折角全てを終えたばかりで、元の世界に戻れたというのに──。
だが、結局のところ、杏子も同じ考えなので文句は言えないのも辛い所だ。
──世界中が支配されているというなら、そこは大変生きづらい世の中に違いない。このままでは、杏子にとっても害の方が多いほどだ。
「……」
そして、杏子としては、確かにもう一度、“彼ら”に会いたいと言う気持ちもあった。脱出と同時に別れ別れになったあの殺し合いの仲間たちと──すぐにまた、もう一度会えるというのだ。
下手をすると、その喜びの方が大きいくらいかもしれない。
──それでも、やはり、キュゥべえが強要している物は大きな重荷であろう事はすぐにわかった。勿論、杏子だって今度こそ死ぬかもしれない。
「……なあ、ベリアルって奴は強いのか?」
「そうだね。君たちの多くがダークザギに苦戦していたのを見ていると、勝つ見込みはとても薄いと思うよ。あのウルトラマンノアも倒されてしまったようだし」
つまるところ、ベリアルは、ダークザギなる巨人やウルトラマンノアより強いという事だった。
ダークザギの正体は石堀光彦だった。裏切った直後の彼と戦ったが、その時点でも杏子たちは全く敵わないくらいの力であった。
しかし、石堀やアクセルの姿はまだ本領発揮とは言えない。身長五十メートルの巨人へと力を取り戻した時、遂に生存者全員が死力を尽くしても倒す事ができなかった。
更にその絶望的な相手を一方的に倒したのが、奇跡の戦士ウルトラマンノアだ。
──その希望さえも潰えたのが、キュゥべえの口から告げられた事で杏子にもわかった。
「──まあ、僕は、君たちがダークザギを相手にした時点で勝率0パーセントと予想されていた。僕たちも諦めていたけど、最後に君たちは彼に勝ったからね。ここから先の結果は僕にもわからない。いずれにせよ、僕も君たちの未知数な力を信じるしかないね」
杏子たちに勝てる相手だろうか? ──この疑問は、杏子もキュゥべえも抱いている。
しかし、あまりにも敵が強大すぎると、勝つとか勝てないとか、死ぬとか死なないとかではなく、遂に、考えてわかるような相手じゃないようにさえ思えてしまうのだった。
本当にこの世にいる相手なのか。逆になんとかなるんじゃないか。勝負にならないくらいで面白いんじゃないか。
少なくとも、杏子はそう思い始めている。
実像だと思えず、今の杏子には、ベリアルへの恐怖や不安など皆無だった。
それどころか、今も、杏子は、あの戦いで出会い、挨拶もせずに離れ離れになってしまった仲間と再会できる事に──言い知れぬ嬉しさや期待を覚えている。
また会えると言われた事の期待が、だんだん膨れ上がり、杏子の中で不安や恐怖に勝っていく……。
気づけば、杏子の未来像の全てをそれが占め始めていた。
そんな時、キュゥべえがまた口を開いた。
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