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変身ロワイアルその6

445あたしの、世界中の友達 ◆gry038wOvE:2015/07/26(日) 18:07:08 ID:2QeaXfr60
 そう、ゴハットが告げたベリアル帝国という謎の単語だ。
 あれは確かに、この殺し合いの主催者を示すキーワードだったという事である。

「ウルトラ戦士……ウルトラマンの事か?」
「そうだ。元々は遠くの星雲から来た光の巨人なんだけどね。多くは何故か宇宙の脅威にわざわざ立ち向かって、宇宙を平和にしようとしている種族だよ。……まったく、ウルトラマンっていうのは、わけがわからない存在だよ」
「……ベリアルってのは、その中の変わり者連中の中の裏切り者ってわけか」

 ──ウルトラ戦士というのは、杏子にとっても少し縁のある物で、それゆえに、どこか嫌な気分を覚えた。
 杏子自身も、ウルトラ戦士と同化して戦った時期があのバトルロワイアルの中にある。だが、ダークザギこと石堀光彦(実際は違うが特にそれについて知らない杏子から見ればどちらも同じだ)のように、あの強大すぎる力を悪の道に使う者もいた。
 当たり前だ。強い力を持った者の多くはそちらの道を選ぶ。たまたま、ウルトラマンたちの星の人間が変わり者の集まりだっただけだ。
 カイザーベリアルは、ダークザギと同じく力に呑まれたのだろう。

「彼は異世界も含めて、この宇宙の果てに存在しうる全てを自分の手で侵略しようとしている。管理された人間は、君たち人間の持つ“感情”が押し殺され、僕たちとそう大差ない、何かに従う生命体になってしまうんだ。……まあ、その方が、“感情”なんていう物に支配されるよりもずっと都合が良いのは確かだけど、そこに至るまでの過程や方法に関して言うと、僕たちの宇宙はとても迷惑しているんだよね」

 ──そこからは、キュゥべえによる長い解説が始まった。
 普段はそれを一からまともに聞く事のない杏子であったが、その時は少し真剣に、頭の中でキュゥべえの言葉を噛み砕いて整理しようと必死であった。
 何せ、そこから先の説明を聞き逃せば、取り返しのつかない事になるような危機感が胸の内にあったし、実際、こうして脱出して拝めた外の世界が一体どういう状況なのか知っておかなければ、まともに暮らす事さえままならないくらいである。

 ──いや、既にそれはままならない状況なのかもしれない、と杏子は思った。

「彼は今回の事で宇宙の寿命を大きくすり減らしている。まず、僕たちが宇宙の寿命の問題を伸ばす為にグリーフシードから手に入れたエネルギーをベリアルたちが殆ど奪取してしまった事が原因の一つなんだけど、それだけじゃない」


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