したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

変身ロワイアルその6

427Tomorrow Song ◆gry038wOvE:2015/07/21(火) 01:03:03 ID:RKdo8Dag0


 ──そして、翌朝、遂にコッペの体力が遂に限界を迎えた。

 三日間も力を使い続けた事自体が異常であったのだ。──コッペの全身の神経が途絶され、踏ん張りが利かなくなる。
 朝十時。保健室で夜を明かしたメンバーは、全員、その時間には起きていた。

 コッペの体力が糸を切れるように消耗された後、それを直感的に察したスナッキーたちの群れが校門から押し寄せてくる。
 封鎖していた校門を蹴り飛ばす音が校庭の方から響き渡り、学校中に戦慄が走る。
 外が一斉に騒がしくなったのが聞こえ、次に、中でも慌ただしい音が聞こえ始めた。

 ──来た、と直感した。

「まずいわ。結界が破れてしまった……。みんな、つぼみを連れて逃げるわよっ……! 早く……!」

 薫子が真っ先に指示する。
 そこにいる全員は、緊張で少し行動が遅れているようにも見えたが、彼女の冷静さがここに避難している生徒たちを守り続けているのだ。
 続けて、鶴崎が言った。

「──ななみ、なおみ、としこ、るみこは花咲さんと一緒に、まずはつぼみを体育館裏の抜け道まで連れて行けっ! 今は誰よりも、つぼみが最優先だ! 急げばまだ間に合う!」

 包囲されていた関係上、逃げ道は体育館裏の抜け穴しかない。
 問題になるのは、この結界が崩れた時、あの抜け穴を通れない大人たちがどうするべきか、だ。入る事が出来る人数もかなり限られてしまうので、生徒たちも大半は逃げる事ができない。
 鶴崎も咄嗟に、花咲薫子をそこに挙げたが、彼女がフォローできるのはあの抜け穴の近くまでで、彼女も体格的に入って先に進む事は難しいだろう。

 後は、鶴崎たちも含め、残った者全員が捕えられる事になってしまう──。
 しかし、かつてプリキュアとして戦っていた以上、希望といえるのは彼女だけだ。日常に帰るまでは、特別扱いせざるを得ない部分がある。
 冷徹な判断であるゆえ、──冷徹な判断だと思ったからこそ、鶴崎はそれを自分の言葉でななみたちに伝えた。妹想いのななみが、妹を先に帰したいと思っているのは想像に難くない。
 だが、その気持ちを尊重してやる事は、今はできないのだ。

「──はいっ!」

 しかし、それでも……四人は勢いよく叫び、実行しようとしていた。
 起き上がるつぼみに肩を貸して、付き添うように走りだす。
 妖精たちが、薫子とつぼみの周りを浮遊する。

「みんな……」

 つぼみ自身は、こんな時の彼女たちの助けが温かく思っていたが、それでも、同時に申し訳ないという気持ちの方が強まっていた。
 プリキュアの力のない自分が彼女たちの希望になれるのだろうか……?
 自分がこんな時に最優先される特別な人間なのは、プリキュアだからだろう。だが、その力は既につぼみの中にはないのである。

(みんなが私を守っても……私はもう、みんなの希望にはなれないのに……プリキュアになれないのに……!)

 ──もう、みんなの為に戦う事はできないのだ。
 戦いたくはないが、それでも、誰かの為に戦える事は、つぼみにとって誇りだった。
 それが失われた時、彼女は進むべき道がわからなくなった。







 保健室から廊下に出て、廊下から外に出る。綺麗な緑色の芝生と、木々のある裏庭。番ケンジがたまにここで漫画のアイディアを考えていたのを覚えている。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板