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変身ロワイアルその6

418HEART GOES ON ◆gry038wOvE:2015/07/21(火) 00:59:55 ID:RKdo8Dag0
 花咲つぼみの祖母──花咲薫子は、職員室のブラインド越しに外の様子を見ていた。彼女の周囲には、プリキュアのパートナーである妖精たちが浮いている。
 シプレ、コフレ、ポプリ……今だ、微弱でも元気があるのはパートナーを失っていないシプレだけであった。他は妖精でありながらもこころの花が枯れる直前という次元である。

「この学校も時間の問題かしら……」

 薫子が見ているのは、校庭に立っている、薫子のパートナー妖精・コッペ様である。
 彼は、そのファンシーで愉快にも見える外見とは裏腹に、妖精の中でも屈指の実力者である。彼が、この場所に強力な結界を張り、この学校一帯だけを守護していた。
 それでも、バトルロワイアルが行われていた二日間ずっとここに結界を張りっぱなしであった為、彼の力も限界に近い所まで来ているらしい。無表情な彼があまり見せない、怒りと苦渋の表情になりつつある。
 シプレ、コフレ、ポプリも何度か力を貸そうとしたが、未熟な彼らの力ではコッペの力には敵わず、結界を手伝えるだけの力はなかった。──だいたい、パートナーを喪ったコフレとポプリは、本来の力を出せるような精神状態ではない。

(頑張って……今はあなただけが、ここにいるみんなの全てを背負ってるの……)

 先ほどまで、校庭に出て、外に向けて石を投げ、抗議の旗を振るう生徒もいた。
 花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの友人やクラスメイトがその殆どである。先生たちが彼らの身に危険が及ぶ可能性を恐れて、それをやめさせたのはつい一時間前の話だ。抗議の証であるプラカードや旗はいまだ外に向けて立てかけられている。
 彼らに限らず、この学校に立てこもり、世界に対する抗議活動を続けるのは、そうした一度デザトリアン化した生徒たち、それからプリキュアたちに助けられた事がある街の人々であった。
 それぞれの胸に悲しみや驚きは膨れ上がっている。しかし、管理には屈しない。

『こんな事でめげてたら、プリキュアたちに──つぼみやえりかや会長に笑われちゃうよ』

 そう、それでも、戦おうとする意志が彼らにはあったのだ。
 かつて砂漠化したこの街でも、ここにいる人々は戦い続けた。
 いや、かつてより多くの人がこの学校に集い、戦おうとしている。
 外で管理されている人々の中にもきっと何かが芽生え始めている。──それがわかっているから、コッペもいつも以上に力を尽くしてくれている。


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